湯布院町に温泉活用して育てた「いちご園」 佐賀から移住の夫婦が運営【大分県】

由布院いちご園を営む飯田忍さん(左)と正悟さん夫婦=由布市湯布院町川南
ハウス内にはイチゴの甘い香りが広がっている
3棟で約16アールのイチゴを栽培

 【由布】由布市湯布院町川南で、県外から移住した飯田忍さん(35)と正悟さん(33)夫婦が、イチゴ狩りを楽しめる「由布院いちご園」を運営している。ハウスの暖房や、栽培に使う水の一部に温泉を活用。今季は5日から営業し、「温泉の恵みを受けたイチゴを楽しんでほしい」と話す。

 佐賀県唐津市でイチゴ栽培を8年ほどしていた2人は「観光農園がしたい」と場所を探していた。農業研修を通して知り合いだった「ゆふいんフローラハウス」(同町川南)の経営者から自社の農業用ハウスが空いていると聞き、移住を決めた。

 2021年夏に引っ越し、最初の1年は栽培ができるよう準備に奔走。22年9月から植え付けた。ハウスは3棟あり、計約16アール。

 立ったまま作業ができる「高設栽培」の1棟には、56度の源泉が流れる約30メートルの配管を10本設置。放熱によりハウス内を暖めている。水やりに使う水にも温泉を混ぜている。2人は「天然のミネラル分により生育が良い」と話す。

 他の2棟は土耕栽培で、温泉による熱と加温機を併用している。温泉熱の利用は燃料代の節約になるという。

 由布院盆地は冬が寒く、日照時間が短い。周辺にイチゴ農家はなく、当初は「色づくだろうか」と不安もあったが、温度管理に気を配るなどして真っ赤に実った。23年2月のオープン後、県内や外国の観光客らが訪れたという。

 今季は、さがほのかを中心に、ベリーツや紅ほっぺなど5品種を育てる。ゴールデンウイークごろまでイチゴ狩りができる予定。

 「時間にせかされることがないように」との配慮から原則、時間は無制限。代表を務める忍さんは「品種の食べ比べをしながら、楽しい思い出をつくってほしい」、正悟さんは「イチゴを通して湯布院の魅力を伝えていきたい」と話す。

 同園のイチゴは由布市内のスーパーなどでも販売している。

<メモ>

 イチゴ狩りの料金は18歳以上2500円、7~17歳が1500円、3~6歳が千円。営業時間は午前10時~午後5時。水曜日定休。予約(070.2615.8728)を呼びかけている。最新情報はインスタグラムで発信する。

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