大分県内の刑法犯、20年以来の増加2994件 23年、特殊詐欺被害は3億円超す【大分県】

自転車の鍵かけを啓発する杵築日出署員=2023年6月、日出町

 県警が2023年に県内で確認した刑法犯は2994件(速報値)で、22年より200件多かった。増加に転じたのは20年以来。自転車盗や万引が大幅に増えた。新型コロナウイルス感染症の5類移行で外出制限がなくなり、人の動きが活発化したことが背景にあるとみられる。特殊詐欺は被害額が3億円を超え、件数も前年より増えた。

 罪種別では窃盗が最も多い1932件(前年比149件増)で、全体の64%を占めた。手口は▽自転車盗 554件(128件増)▽万引 515件(44件増)▽車上狙い 113件(29件減)▽住宅侵入盗 109件(15件増)―の順。

 盗まれた自転車は7割以上が無施錠だった。現場は約4割がJR駅の駐輪場。中学生や高校生、大学生らが被害に遭うケースが目立ち、県警は「学校などと連携し、鍵かけの徹底を呼びかける」と強調する。

 万引は大型商業施設やドラッグストアで多発した。

 殺人や強盗などの凶悪犯は31件(10件増)。1月に中津市で母親(41)が小学1年の長女=当時(7)=の首を絞めて窒息死させたとされる事件が起きたほか、8月には父親(67)が妻=同(38)=と養子の男児=同(9)=を殺害したとして逮捕された。

 特殊詐欺は相談を含め206件(29件増)、3億1189万円(約9233万円増)の被害を確認した。1千万円を超える被害が8件発生。パソコンの修理費や有料サイトの利用料などの名目で金銭をだまし取る架空請求が137件(5件増)と続発した。

 県警安全・安心まちづくり推進室の高橋直樹室長(48)は「コロナ禍が一段落して外出する機会が増えるのに伴い、犯罪に手を染める人も多くなっていると思われる。能登半島地震に乗じ、被災地支援を装って現金などを要求する詐欺の発生が懸念される。十分に注意してほしい」と話した。

© 有限会社大分合同新聞社