理髪店に貼られた「スキンヘッド体験しませんか。女性4千円」に、思わず立ち止まった

丸ぞりを勧める張り紙。男性と並び、女性料金もきちんと明記されている

 「スキンヘッド(丸剃)体験しませんか。女性4千円より―」 こんな張り紙を京都市のある理髪店前で見つけ、思わず立ち止まった。女性でそり頭? 張り紙をしているってことはニーズがあるのだろうか。気になって店を訪ねた。

 中京区の竹屋町通にある「高木理髪店」。そり頭を勧める張り紙には、男性料金と並んで女性料金が赤字で記されている。理髪店は男性客中心だけに、そり頭なら女性はなおさら少ないはず。なぜ女性料金も明記しようと思ったのか。

 「そんな深い意味はないで」と、ハキハキと応じてくれたのは3代目店主の高木清美さん(76)。20歳から理容師を続けるベテランで、祖父が大正時代に創業した店を今は1人で切り盛りしている。

 そり頭にした女性客は過去に2人いたという。2人とも「女性でもしてくれますか」と飛び込みで来店。ともに30代くらいで、「自分を持っている感じ」のおしゃれな人だったという。清美さんは「女性理容師やから来てくれたんかな。何で(丸ぞりに)しはんねやろと思ったけど、よう似合うてはった」と振り返る。

 その後はそり頭を希望する女性の来店はないが、「いちいち聞かれるのも大変」と今春に張り紙を出した。「女性でもやりたいんやったら、何ぼでもやらしてもらいますえ」と清美さん。シャボンの泡と蒸しタオルで髪の毛を柔らかくし、丁寧にそり上げるという。

 実はそり頭までいかないにしろ、女性の丸刈りスタイルは近年、英語で「バズカット」と呼ばれ注目を集めている。火付け役はハリウッド俳優や海外のセレブら。ロングヘアなど型にはまった美しさや女性性からの解放がメッセージとして込められているという。

 記者が張り紙を見て立ち止まった行動をひもとくと、女性の髪形についての固定観念があった。ヘアスタイルは自由。「らしさ」にとらわれず、好きなスタイルを楽しみたい。

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