全日本高校バレー選手権 長崎県勢、男子・大村工は2回戦へ 女子・純心女は初戦敗退

【男子1回戦、山形中央―大村工】多彩なトスワークで大村工の攻撃を指揮したセッター富永誠(左)=東京体育館

 バレーボールの第76回全日本高校選手権(春高)第1日は4日、東京体育館で1回戦が行われ、長崎県勢は男子の大村工が山形中央を2-0で下して2回戦へ進んだ。女子の純心女は長岡商(新潟)に0-2で敗れた。
 大村工は第1セット、OH横山の連続得点でリズムをつかんだ。エース土井のバックアタックや1枚ブロック、MB船戸の速攻などで点差を広げて25-18で先取した。第2セットもMB安元の速攻を皮切りに着実に加点。一度もリードを許さず25-15で快勝した。
 純心女は第1セット、MB橋田やOH中嶋のスパイクなどで10-4とリードしたが、そこから10連続失点。流れを失って21-25で落とした。第2セットは7-2から追いつかれ、19-15と引き離した後もミスなどで失速。22-25とひっくり返された。
 好カードとなった女子の東九州龍谷(大分)-就実(岡山)、共栄学園(東京)-熊本信愛女は就実と熊本信愛女がそれぞれストレート勝ち。男子で昨秋の国体を制した高川学園(山口)は星城(愛知)にフルセットで競り勝った。
 開会式では1日の能登半島地震を受けて来場者全員で黙とうを捧げた。
 第2日は同体育館で男女の2回戦を実施。大村工はCコート第2試合(10時30分)で洛南(京都)と対戦する。

◎男子・大村工 富永誠、巧みなトスワーク
 雪辱を誓う舞台で上々のスタートを切った。第1試合に登場した男子の大村工は終始多彩な攻撃を展開して山形中央を圧倒。他の4コートに先駆けて大会一番乗りで勝利を挙げた。「どこからでも得点できるうちのスタイルをしっかり発揮してくれた」。朝長監督の声も弾んだ。
 今季は全国で上位進出を期待されながら、夏のインターハイは決勝トーナメント初戦、秋の国体も1回戦で敗退。ラストチャンスへおごりを捨てて、自信をつけ直してきた。
 攻撃は今大会に向けて「覚悟を決めた」と言うセッター富永誠の成長が大きい。以前は相手のブロックを見て上げるトスが苦手で予測に頼りがちだったが、日本代表でセッターを務めた朝長監督の指導の下、失敗を重ねて少しずつ体得。この日は「3年間で一番見ることができた」と振り返ったように、面白いように相手を翻弄(ほんろう)して的を絞らせなかった。
 その上で、こだわるところにはこだわった。要所では大黒柱のOH土井にボールを供給し、バックアタックの本数も増やした。第2セットは3-2から山形中央のエースに一人時間差を決められれば、直後に、こちらもMB船戸の一人時間差でお返し。そこから7点を連取して一気に勝負の大勢を決めた。
 次はインターハイ準Vの東山を京都府大会で倒した洛南と対戦。厳しい戦いも予想されるが、成長を示すこの上ない相手といえる。「きょうはブロックが見えただけで、精度は変わっていない。ここから勝ち上がるためには、もっとスパイカーが気持ち良く打てるトスを上げていく」。司令塔の富永誠の言葉に、一層の責任感がこもった。

【男子1回戦、山形中央―大村工】第2セット、スパイクを放つ大村工のOP宮原=東京体育館

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