故郷一変、続く余震...「飲み水支援を」 帰省先の石川・珠洲で被災の田保さん(鹿沼)

地震で倒壊した建物。道路の片側車線をふさいだ=2日、石川県珠洲市(田保さん提供)

 震度6強の地震と大津波警報が帰省中の家族を襲った。栃木県鹿沼市南上野町、会社員田保弘美(たんぼひろみ)さん(68)は、古里の石川県珠洲市で過ごしていた元日、能登半島地震に見舞われた。大津波警報を受け、家族と高台に避難した。4日も余震が続く中、妻、母と共に実家で不安な日々を過ごす。倒壊した建物や津波の痕跡-。「これからどうなってしまうのか」。変わり果てた故郷に胸を痛めている。

 田保さんは昨年12月29日、妻と共に珠洲市上戸町北方の実家へ帰省。1人暮らしの母親(90)と一緒に年を越した。新年を祝った元日の午後4時過ぎ。2階で寝ていた田保さんは、「ドンッ」という強い地震で目を覚ました。

 「避難所に行かなくても大丈夫かな」。妻と話す最中、2度目の地震が起きた。震度6強。木造2階建ての家が大きく横に揺れた。田保さんはテレビを押さえ、妻と母は机の下に隠れて耐えた。「揺れが半端ではなかった。東日本大震災を思い出した」

 約12分後、大津波警報が能登地方に発令された。予想される津波は5メートル。初めての警報に驚き、田保さんら3人はミニバンに乗り込み実家から3、4分の高台にある消防署に避難した。車内で一晩を過ごし、帰宅したのは翌2日朝だった。

 その後、生活用品を確保しようと、コンビニやドラッグストアを回る中、姿を変えた古里を目の当たりにした。道路の亀裂、電柱から垂れ下がった電線。実家から約100メートルの海岸沿いの歩道には物が散乱し、ボートが乗り上げていた。津波が押し寄せた痕跡だった。

 田保さんの実家は屋根瓦が落ち、雨漏りするようになった。断水が続き、近隣住民からもらった飲み水などでやりくりしている。それでも、残りは2、3日分しかない。「飲み水を支援してほしい」と切に願う。

 余震が続く珠洲市。県内外に住む子どもらを頼り、市から離れる人もいるという。田保さんも高齢の母を連れて鹿沼市に帰るかを悩んでいる。「今後どうなってしまうのか。自力で復興できるのか」。そんな不安が頭をよぎる。

津波が押し寄せたとみられる海岸沿いの歩道=4日、石川県珠洲市(田保さん提供)
津波が押し寄せたとみられる海岸沿いの歩道=4日、石川県珠洲市(田保さん提供)

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