辰年の2024年 過去の辰年は台風の発生が多い? 少ない?

 

 2024年は辰(たつ)年。辰年の天気を県内ニュースと共に振り返ってみましょう。
(※沖縄気象台の顕著現象報告、異常気象報告等を参考)

2012年は台風が沖縄に11個も接近

 2012年は台風の影響を大きく受けた年でした。長時間の暴風域や高潮被害、記録的な暴風を観測しました。台風発生数25 沖縄県への接近数11(平年は7.7)

2012年台風17号関連資料(沖縄気象台資料より加工)

〈8月〉

台風15号 
(強風、大雨、波浪)【沖縄本島地方、大東島地.方】
 沖縄本島地方と大東島地方では暴風域に入っている時間が30時間を超えた。本島北部では500ミリを超える記録的な大雨となり、名護では934.3ヘクトパスカルの最低海面気圧を観測。(1973年からの統計で歴代2位)

 

〈9月〉

台風16号

(強風、大雨、波浪、高潮)【沖縄本島地方、宮古島地方】

 沖縄本島地方では、最長で17時間暴風域に。本島北部の海岸付近を中心に高潮、高波による被害が甚大。名護で939.4ヘクトパスカルの最低海面気圧を観測。(1973年からの統計で歴代3位)

台風17号の強風で国道58号でトラックが横転、片側3車線をふさいだ=2012年9月29日、那覇市前島

台風17号 

(強風、大雨、波浪)【沖縄本島地方、宮古島地方、八重山地方、大東島地方】
 台風は久米島と沖縄本島の間を、速度を速めて沖縄本島沿いに北東へ進んだ。那覇で西北西の風61.2メートルを観測。(1953年からの統計で歴代3位)

2012年県内ニュース(沖縄タイムス選出十大ニュースから)
・米軍オスプレイ、普天間飛行場に強行配備
・米兵の事件相次ぐ
・衆院選で自民圧勝 沖縄選挙区は3氏当選

2000年前半は長雨と日照不足

 

 2000年の前半は、長雨と日照不足が顕著となりました。

 

台風発生数23 沖縄県への接近数10(平年は7.7)

 

〈2月~3月20日〉
(長雨・寡照〈長期〉)【沖縄本島地方、宮古島地方、八重山地方】
 太平洋高気圧の張り出しや前線の影響で曇りや雨の日が続き長雨と日照時間の少ない状態となった。名護の月間の日照時間は35.5 時間だった。(1966年からの統計で月間日照時間の少ない方から、2月としての1位を記録)

 

〈7月〉
 九州・沖縄サミットの前後は台風の影響を受けるものの、サミット期間中は概ね晴れの天気。

 

〈8月〉
(強風)【大東島地方】
 台風が5個発生。そのうち台風8号、9号、10号が沖縄地方に接近。南大東島で最大瞬間風速、南の風61.5メートルを観測。(1947年からの統計で2位の記録)

2000年県内ニュース(沖縄タイムス選出十大ニュースから)
・沖縄サミット(主要国首脳会議)開催
・琉球王国のグスク群世界遺産に登録
・新石垣空港の建設位置をカラ岳陸上に正式決定

ひょうが降った1988年

 1988年の前半は大気の状態が不安定な日が顕著で、後半は少雨傾向となりました。

台風発生数31 沖縄県への接近数6(平年は7.7)

〈3月〉
(ひょう)【宮古島地方・八重山地方】
 寒冷前線の影響で、石垣島と宮古島市内でピーナツ大のひょうが降った。

〈6月〉 
(落雷)【沖縄本島地方】
 梅雨前線が活発化。那覇空港で南西航空ボーイング737機に落雷し、誘導係3人が軽傷。

沖縄本島では雨が降らず、1988年10月から渇水対策に入った。写真は干上がった天願ダム=1988年12月22日

〈12月〉
(少雨)【沖縄全域】
 10月中旬以降から高気圧に覆われて晴れの日が続き少雨傾向で、特に沖縄本島地方は渇水状態となり、降水量の少ない方からの統計で年間1位の記録となった。12月の那覇の降水量は1.0ミリ (1890年からの統計)、12月の名護の降水量は 1.5ミリ。(1966年からの統計)

1988年県内ニュース(沖縄タイムス選出十大ニュースから)
・米軍演習が激化 島ぐるみの反発に
・那覇市発注の公共工事を巡る贈収賄事件
・沖縄電力民営化

1976年は沖縄全域で記録的な渇水

 前年の1975年11月から1976年は長期にわたり少雨となり沖縄全域で渇水状態となりました。

台風発生数25 沖縄県への接近数9(平年は7.7)

〈1月~6月〉 
(少雨)【沖縄全域】
 高気圧の圏内で雨が少なく、3月には沖縄本島では夜間断水が行われた。沖縄本島や先島諸島で農作物に被害も。梅雨入りは大幅に遅れて5月26日ごろとなった(沖縄地方の梅雨入りの平年値は5月10日ごろ)。沖縄気象台は異常渇水情報を発表。6月に入ってようやく夜間断水が解除。

「カラ梅雨宣言」の見出しで渇水を伝える1976年6月10日付の沖縄タイムス

〈7月〉 
(台風7号、9号)【大東島地方】
 台風の接近により、南大東では東の風56.6メートルを観測 (1947年からの統計で歴代6位)し、日最低海面気圧は945.4ヘクトパスカルを観測。(1942年からの統計で歴代5位)

〈8月〉 
(台風13号)【八重山地方】
 台風13号の吹き返しの風により、石垣島では南の風59.7 メートルを観測。(1941年からの統計で歴代6位)

1976年県内ニュース(沖縄タイムス選出十大ニュースから)
・具志堅用高、ボクシング世界王者に
・米軍の演習阻止闘争の事件に刑特法適用
・「海洋博倒産」相次ぐ

毎年接近する台風 しっかり備えて

 台風の発生数の平年値は25.1となっています。過去の辰年の台風の発生数は、平年並みか平年値を上回る年が多くなっています。台風の長期的な発生予測は難しいものの、毎年接近する台風への備えはしっかりとしておきたいものです。
 また、沖縄気象台発表の最新の3カ月予報によると、2024年の1月から3月にかけては、寒気の影響を受けにくく、暖かい空気に覆われる時期があるため、気温は高い見込みです。また、低気圧などの影響を受けやすいため降水量は多い予想となっています。雨への備えが必要です。

3カ月予報(2023年12月19日沖縄気象台発表)

8日の成人の日は晴れたり曇ったり

 1月6日(土)からの3連休は、初日は雨のところも、7日(日)は日差しが戻り、8日(月)の成人の日は晴れたり曇ったりの天気でしょう。

沖縄本島地方・大東島地方の予報 ※1月5日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
宮古島地方・八重山地方の予報 ※1月5日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

 6日(土)の沖縄地方は、朝は高気圧に覆われて晴れる見通しですが、午後は湿った空気の影響で次第に雲が広がるでしょう。沖縄本島地方は夕方ごろ、宮古島、八重山地方は夜にひと雨降りそうです。最高気温は、県内各地24℃前後の予想で、3月下旬から4月上旬ごろの暖かさとなりそうです。

1月6日(土)午後6時の雨と風の予想 ※1月5日(金)午前11時現在、ウェザーマップ

 7日(日)は、沖縄本島地方や大東島地方はおおむね晴れるものの、宮古島地方や八重山地方では雲がかかりやすくなりそうです。季節外れの暖かさは収まり、昼間は20℃前後のところが多いでしょう。

 8日(月)の成人の日は、沖縄本島地方や大東島地方では晴れる時間がありますが、宮古島地方は朝から雲が広がりやすく、八重山地方はおおむね曇りの予想です。県内各地、朝はひんやり感じられそうですが、日中の気温は21℃くらいでこの時期らしいところが多いでしょう。

 

崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
 沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。

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