「新型コロナウイルス」関連破たん、2023年は3201件発生 累計は8429件に

【12月31日現在】

◇2023年の新型コロナ破たん 前年比4割増の3,201件

12月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が278件判明した。この結果、2023年の件数は全国で3,201件にのぼり、前年(2,282件)から4割増加し、これまでの累計は8,044件(倒産7,846件、弁護士一任・準備中198件)となった。
倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計385件判明した。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で8,429件に達した。
国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.234%で500社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.415%、次いで福岡県の0.344%、宮城県の0.331%、大阪府の0.294%、栃木県と群馬県の0.275%。一方、最低は宮崎県の0.100%で、地域によってばらつきもある。
コロナ関連破たんは2022年9月以降、月間200件超えが続き、2023年は2月と8月で300件超えを記録した。経済環境の正常化やコロナ禍からの脱却が進む一方で、業績回復が見出せずに脱落する企業は多く、後遺症に苦しむ企業の存在が浮き彫りとなっている。コロナ関連融資の返済に加え、物価高や人手不足などのコストアップが企業の足かせとなるなかで、2024年も当面はコロナ関連破たんの高止まりが続く可能性が高い。


【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 300件以上は7都道府県 ~

都道府県別では、東京都が1,652件と全体の2割強(構成比20.5%)を占め、突出している。以下、大阪府768件、福岡県438件、愛知県406件、兵庫県365件、神奈川県332件、北海道330件、埼玉県268件と続く。
300件超えが7都道府県、200件~300件未満が3県、100件~200件未満も9県に広がっている。一方、10件未満はゼロで、最少は鳥取県の17件。

【業種別】(負債1,000万円以上)~ 最多は飲食業の1,313件、建設業、アパレル関連が続く ~

業種別では、コロナ禍での来店客の減少に加え、食材や光熱費高騰の負担も重い飲食業が最多で1,313件に及ぶ。客足は戻っても売上の回復に至らず、経営体力の消耗による破綻や、あきらめ型が多い。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が976件に達した。このほか、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の566件。飲食業などの不振に引きずられた飲食料品卸売業が326件、食品製造が236件、扱い量の減少などが響いた貨物自動車運送業が225件、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が219件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

負債額が判明した7,991件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の3,146件(構成比39.3%)、次いで1億円以上5億円未満が2,449件(同30.6%)、5千万円以上1億円未満が1,630件(同20.3%)、5億円以上10億円未満が394件(同4.9%)、10億円以上が372件(同4.6%)の順。
負債1億円未満が4,776件(同59.7%)と約6割を占める。一方、100億円以上の大型破たんも23件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した7,846件の形態別では、破産が7,111件(構成比90.6%)で最多。次いで取引停止処分が286件(同3.6%)、民事再生法が237件(同3.0%)、特別清算が183件、内整理が22件、会社更生法が7件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の9割超を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した7,856件の従業員数の合計は6万9,193人にのぼった。平均すると1社あたり約9人となる。
7,856件の内訳では従業員5人未満が4,714件(構成比60.0%)と、6割を占めた。次いで、5人以上10人未満が1,491件(同18.9%)、10人以上20人未満が909件(同11.5%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は上半期で24件に増加し、下半期も31件判明。2023年上半期は27件、下半期は39件判明し、増加が顕著となった。

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