日米地位協定改定を 渉外知事会、緊急要請

 沖縄で起きた米軍属の男による女性遺棄事件を受け、米軍基地を抱える14都道県でつくる「渉外知事会」(会長・黒岩祐治神奈川県知事)は3日、外務、防衛両省と在日米大使館に対し、再発防止と日米地位協定の改定、基地所在自治体の負担軽減を緊急要請した。黒岩会長は「悪質かつ残虐な事件で断じて許すことはできない」とし、実効性ある取り組みを求めた。

 地位協定改定に関し、応対した黄川田仁志外務政務官は「協定の大きな枠組みは維持しつつ、手当てすべき事項の性格に応じた適切な取り組みを積み上げ、あるべき姿を追求する」などと返答。藤丸敏防衛政務官も「地元の切実な声を外務省に伝える」と述べるにとどめた。

 要請後、黒岩会長は「沖縄で起きたことは、基地を抱える他の自治体でいつあっても不思議でない」と強調。事件を受けて政府が沖縄の防犯パトロール態勢を強化するなどの再発防止策を決定したことに触れ、「具体策の提示は評価したいが、この対応だけでは不十分。根本的解決は地位協定改定にある」と訴えた。

 同行した沖縄県の安慶田光男副知事も「地位協定に守られているという米軍人、軍属の意識改革なしに悪辣(あくらつ)な事件はなくならない」と指摘。「米側に裁量権がある運用改善では駄目だ。渉外知事会として(事件は)明日はわが身の思いで要請した真意を分かってもらわないと」と述べ、改定に慎重な政府の姿勢に苦言を呈した。

© 株式会社神奈川新聞社