犬のしつけで痛みを使う方法の線引きは難しい?そう考えるのは犬の立場になっていないから

犬のしつけで痛みを使う方法の具体例

犬のしつけで痛みを使う方法には次のようなものがあります。

  • スパイクカラーなどチョークを使い刺激を与える
  • 叩く
  • 蹴る
  • 殴る

叩く・蹴る・殴るは恐らく少なくない人が体罰になるのでは?虐待では?と考えると思いますが、スパイクカラーに限らずチョークを使って犬の首に刺激を与える方法についてはOKと考える人が少なくありません。

特にチョークを使う方法は軽く合図を送る程度であれば痛みはないため問題ないと考えられがちですが、肉体的な痛みがなくても首に衝撃を与えることは不快ですしさまざまなダメージを与えます。

叱る側の感覚ではなく受け取る側の犬の気持ちで考えよう

また、痛みとは肉体的な痛みだけでなく精神的な痛みも含まれることを忘れてはなりません。

精神的な痛みとは精神的苦痛・不快・不安・恐怖といったネガティブな気持ちです。

叱ることも必要である程度の厳しさは仕方ない、これくらいであれば大丈夫、という考えはあくまでもそれをやる側の考えでしかありません。

ではそれを受ける側の気持ちはどうなのでしょう?

例えばあなたが軽く叩かれたりこづかれたり押されたりするといったことをされたときに、あなたは不快に感じないでしょうか?

相手が「軽くやってるだけだから問題ないだろ」と言ってきたとして納得できますか?

大切なのはやる側の感覚ではなくそれを受ける側の感覚と気持ちです。

犬のしつけには痛みではなくポジティブな経験を

そもそも犬のしつけに痛みを使う必要はなく、与えるべきは痛みではなくポジティブな経験です。

そしてポジティブな経験を与えるために人間は何ができるのかを考え、それを試行錯誤していきます。

確かに考え試行錯誤することは大変な部分もありますが、どうすれば犬が喜んでくれるかを考える時間も楽しいものです。

そうしたことを試してみたときに愛犬に見事ヒットしたときもまた嬉しいものですし、それによって愛犬も楽しんでくれるためポジティブな方法というのは人も犬も楽しみながら取り組むことができます。

これが痛みを使うしつけ方法になると、「この程度の痛みではだめだ、もっと強度を強くしなければ…もっとしっかり刺激を与えなければ…」と負のスパイラルに陥りそれをやる側の精神状態も健全とは言えません。

そしてそれを受ける側の犬はもっと深刻なダメージを受けるため、決して痛みを伴うしつけ方法はやるべきではないのです。

まとめ

犬のしつけで痛みを使う方法の線引きというのはありません。

それを受ける側の犬が不快・恐怖・不安などネガティブな状態になること自体がNGだからです。

そうした線引きを考える前に動物福祉の基本原則を学び、それにその方法が合っているのかどうかを考え、自分が嫌だと思うことを相手にされたらどうなのかを考えてみましょう。

やるべきはそんなネガティブな方法ではなく、優しく楽しいポジティブな方法で人も犬も幸せになれる選択ですよ。

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