J1町田・黒田監督、青森山田高に異例の支援 高校サッカー

青森山田イレブンの調整を見守り、笑顔を見せる黒田氏(左から2人目)と正木監督(右)

 青森山田は第102回全国高校サッカー選手権の期間中、黒田剛前総監督が指揮を執るJ1町田の練習場を借り受け、プロ仕様の環境で調整を続けてきた。通常、Jクラブの練習場は芝生の養生や所属選手のトレーニングを優先するため、高校チームに一定期間貸し出すのは異例。黒田氏のバックアップを得て実現したもので、黒田氏は「高校生にこういう施設を経験してもらうことで、よりプロに行きたいという気持ちになってくれれば」と期待する。

 毎年首都圏で開催される全国高校サッカー選手権に参加する首都圏以外のチームは、学校施設のグラウンドなどを借りて調整するのが通例。青森山田も毎年グラウンド探しに苦労してきたが、就任1年目で町田をJ2優勝に導いた黒田氏の尽力もあり、「全面無料」(黒田氏)で年末年始の計5日間にわたって町田の練習場を調整に利用した。

 黒田氏に代わって青森山田を指揮する正木監督も「こんなにぜいたくなことはない。最高の状態で試合に臨めているのも、ここで調整できたから」と感謝。5日は黒田氏が青森山田の選手たちに直接アドバイスする場面も見られ、青森山田のホームグラウンドのような雰囲気に包まれた。

 黒田氏と同じタイミングで青森山田中の監督から町田のアシスタントコーチに転身した上田大貴氏も加わり、選手たちに「一体感の重要性」を強調。主将山本ら現高校3年生が青森山田中時代、新型コロナウイルスの影響で全国中学校体育大会(全中)中止を経験したことに触れ、「苦しい時代を経て、(教え子たちが)国立でプレーするのはうれしい。精いっぱい応援したい」とエールを送った。

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