全日本バレー高校選手権 長崎・大村工、洛南に逆転勝ち 2年連続で3回戦へ

【男子2回戦、大村工―洛南】逆転勝ちして喜びを爆発させる大村工の選手たち=東京体育館

 バレーボールの第76回全日本高校選手権(春高)第2日は5日、東京体育館で男女の2回戦が行われ、長崎県勢は男子の大村工が洛南(京都)に2-1で競り勝ち、2年連続で3回戦へ進んだ。
 大村工は第1セット、エース土井の強打や1枚ブロックで6-2と好発進したが、7本のサーブミスもあって失点を重ね、22-25で落とした。第2セットはMB船戸、安元、OH宮原らのスパイク、ブロックが機能。洛南のサーブが乱れた隙を逃さずに得点して、25-19で奪い返した。第3セットも一進一退で進み、終盤は土井と洛南のエース中上の激しい打ち合いに。22-23と先行されたものの、ここから土井が3連続でバックアタックを決めて逆転勝ちした。
 男子はこのほか、昨夏のインターハイ王者で第1シードの駿台学園(東京)が佐賀学園を2-0で退け、第2~4シードの鎮西(熊本)、福井工大福井、習志野(千葉)も順当に3回戦進出。昨秋の国体を制した高川学園(山口)も岡谷工(長野)を2-1で下した。
 女子はインターハイ、国体と合わせて3冠を狙う第2シードの下北沢成徳(東京)、昨年優勝で第1シードの古川学園(宮城)、長岡商(新潟)を下した金蘭会(大阪)などが16強入りした。
 第3日は6日、同体育館で男女の3回戦と準々決勝を実施。大村工はBコート第3試合(12時)で福井工大福井と対戦する。

◎土井、圧巻のバックアタック3連発
 普段は寡黙なエースがほえまくった。2018年度王者の洛南(京都)との男子2回戦。大村工のOH土井が大車輪の活躍でチームを3回戦に導いた。緊迫した展開で託されたボールを打ち込み続け、最終セットは22-23から圧巻のバックアタックで3連続得点。主将がラストを締めくくった。
 「最後は土井。それで駄目なら仕方がない」。今大会のチームの合言葉だ。身長184センチで一昨年はU18日本代表に選ばれるなど、入学後から存在感を示してきたが、なぜか大舞台で力を発揮できなかった。昨年の春高も「先輩に任せきりで何もできなかった」。朝長監督も「全然、目立ってなかった」と苦笑いするしかなかった。

【男子2回戦、大村工―洛南】第1セット、大村工のOH土井がバックアタックを決めて10点目=東京体育館

 あれから1年。指揮官が「こんな姿は見たことがない」と驚くほど、エースは頼もしくなって春高に戻ってきた。日ごろから「休め」と言っても休まない。体育館をのぞいたらいつもいる。口数が少ない分、人間性と背中で仲間の信頼を積み重ね、それに応えた。
 この日は随所で洛南のOH中上とのエース対決になった。一学年下の相手を「すごい」と素直に認めた上で「挑戦者の気持ちなら絶対に負ける。俺たちの方が圧倒的に強いと思ってやった」。第1セットを奪われた後も「焦りはなかった」。第2セット以降も、強打を決められれば何度も決め返し、最後に上回った。
 一つのヤマを越え、朝長監督は「自分がなかなか成長させてあげることができない中、よくしっかり…」と思わず言葉を詰まらせた。直後に取材エリアに現れた教え子は「まだ日本一のエースにはなれていない。次のエースもすごい。その勝負に勝ちきって、どんどん成長していきたい」と貪欲に3回戦を見据えていた。

© 株式会社長崎新聞社