わさお、高齢者… 篠山紀信さん、青森県内も活写

写真撮影後、わさおと記念写真に納まる篠山さん(左)と菊谷節子さん=2013年4月26日撮影(わさおプロジェクト提供)

 時代を象徴する人物の写真撮影を数多く手がけ、4日早朝に亡くなった写真家の篠山紀信さんは、東奥日報などが企画・制作した「第61回全日本広告連盟青森大会開催記念特集『この国の未来・篠山紀信』」(2013年5月15日朝刊別刷り掲載)で青森県内在住の高齢者17組を取り上げ、その生き生きとした表情を写真に納めた。篠山さんの写真とコピーは読者に感動を与え、大きな反響を呼んだ。篠山さんは同年4月26日、同企画の撮影のため鯵ケ沢町を訪れ、同町の人気犬「わさお」と飼い主の菊谷節子さん(17年死去)を撮影した。

 当時撮影に立ち会ったわさおプロジェクト代表の工藤健さん(56)は、篠山さんの印象について「滞在時間は15~30分ほどで、撮影はすぐに終わった。当時わさおは抜け毛が始まっていて万全の状態ではなかったが、とてもいい写真ばかりで驚いた。やはりプロは違うなと感じた」と振り返る。撮影後は記念写真の撮影に快く応じるなど気さくな人柄だったという。

 工藤さんは「独特の雰囲気があり、まさに一流の写真家のオーラだった。対峙(たいじ)した人の“素”の部分を自然と引き出すことができる人だったのではないかと思う。その後も手紙をもらったり縁が続いた。謹んでご冥福をお祈りします」と語った。

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