「紀州梅の郷救助隊」被災地能登へ 阪神大震災を機に結成の災害ボランティア団体、和歌山

ワゴン車に支援物資を積み込む紀州梅の郷救助隊のメンバー(5日、和歌山県みなべ町芝で)

 最大震度7を観測した能登半島地震の被災地を支援しようと、和歌山県みなべ町の民間災害ボランティア団体「紀州梅の郷救助隊」(尾﨑剛通隊長)のメンバー6人が6日朝、被災地に向けて出発した。支援物資を届けるほか、状況に応じて支援活動をしたいという。

 1日の地震発生後、尾﨑隊長(74)が「なんとか支援したい」と考えた。「梅収穫ワーケーション」で縁があった一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会代表理事の島田由香さん(みなべ町東本庄)に相談。島田さんはみなべ町と同様に世界農業遺産に認定されている石川県能登町と関係人口創出を目指す活動でつながりがあり、ちょうど支援のために同町を訪れる計画だったという。先に現地入りした島田さんを頼って行くことにした。

 被災地では、災害ボランティアの受け入れ態勢がまだ整っていないこともあり、「とりあえず行ってみよう」と参加メンバーは少人数にした。

 支援で訪れるに当たり、みなべ町から非常食や水、飲料用袋、災害用簡易トイレのほか、紀州みなべ梅干生産者協議会や紀州みなべ梅干協同組合による個包装の梅干し、JA紀州による梅酢の提供を受けた。5日夕方に現地に向かうワゴン車1台に積み込んだ。

 6日朝に出発し、その日のうちに能登町に到着予定で、町役場に支援物資を託す。7、8の両日に活動を予定しているが、余震が続いていることもあり、捜索やがれきの撤去など、どのような活動が可能かは定かではないという。

 梅の郷救助隊は、1995年の阪神大震災をきっかけに結成。全国で地震や津波、風水害が発生すれば現地に駆け付け、復旧活動を支援し、物資の提供などもしている。活動は50回を超えているが、2019年秋に川の氾濫による浸水被害を受けた長野県須坂市での支援活動以降、コロナ禍により活動はストップしていた。

 尾﨑隊長は「最大震度7の地震が起こったと思うと居ても立ってもいられず、とりあえず行ってみようと思った。準備を十分に整え、現場の要望を聞いて活動したい。みなべ町の近未来の姿でもあるだろうし、今後のために見ておきたい」と語った。現地の受け入れ態勢が整えば、その後も支援活動に行きたいという。

■職員や保健師ら派遣 七尾市などに県

 県は6日、近畿被災建築物応急危険度判定協議会からの要請を受け、8~10日の予定で石川県の七尾市と中能登町に職員1人ずつを派遣すると発表した。被災建築物の危険度の判定業務などに当たる。

 また、石川県からの派遣要請に基づいて七尾市に、7日~2月29日の予定で保健師13チーム(各チーム4人予定、県と和歌山市が交互に派遣)を、8日~2月1日の予定で医師や保健師、薬剤師からなる災害時健康危機管理支援チーム4チーム(各チーム5人予定)を派遣すると発表した。

■輪島市に職員派遣 日赤和歌山医療センター

 日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山市)は4日、被災地での医療救護活動の統括、調整などを行うため、石川県輪島市に災害医療コーディネーターとして医師や看護師など職員3人を緊急派遣した。期間は9日までの予定。

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