2024年を感じながら聴く【90年代ロック名盤ベスト10】懐かしむより、超えていけ!  洋楽の多様化が促進された90年代の名盤ベスト10を紹介!

ジャンルの細分化が激しくなった90年代、今聴くべき洋楽名盤ベストテン

前回は80年代編をお届けしたが、今回は “2024年を感じながら聴く90年代ロック名盤ベスト10”。例によって独断と偏見で選んでおり、順位付けにも特に意味はない。90年代は洋楽の多様化が促進され、ジャンルの細分化が激しくなった時代。他にお勧めのアルバムがあれば、コメント欄等に書き込んでもらえれば幸いです。

それではカウントダウン、スタート!

バラードのタイトル曲は至福! プリンスの90年代も見逃せない!

第10位 プリンス&ザ・ニュー・パワー・ジェネレーション『ダイアモンズ・アンド・パールズ』(1991)

プリンスというと80年代が全盛期であることに異論はない。しかし、昨年デラックス・エディションがリリースされた、この90年代のアルバムの題名どおりの輝きはどうだ!バラードのタイトル曲は至福としか言いようがないし、ファンクは徹底的にアグレッシブ。スーパー・デラックス・エディション収録の膨大な未発表曲の中には、”このレベルでボツになったの!?” というナンバーも。

第9位 クーラ・シェイカー『K』(1996)

2月に来日公演が控えている、UKロックバンドの記念すべきファーストアルバム。フロントマンのクリスピアン・ミルズは、バンドの最初の解散後は映画監督として活動もしていたが、やはりクーラが良く似合う。近年のアルバムもグルーヴ感満点だが、すべての源泉はギターが凄まじくうねるこのアルバムにある。

第8位 ペット・ショップ・ボーイズ『ヴェリー』(1993)

FIFAワールドカップ予選が行なわれることもあり、今やサッカー応援ソングとなった「ゴー・ウェスト」(ヴィレッジ・ピープルのカバー)が収録されたこのアルバムを。しかし、次のワールドカップの開催地は北米大陸なので、“西” ではなくて “東” を目指すべきか!?

反語的に前向きなものを醸し出していた90年代のオルタナ

第7位 ベック『メロウ・ゴールド』(1994)

“俺は負け犬、殺してくれよ” という一節だけで強烈なインパクトをあたえた「ルーザー」収録。レディオヘッドの「クリープ」もそうだが、90年代のオルタナ曲には、このような後ろ向きの時代の空気があり、それが反語的に前向きなものを醸し出していてもいた。2024年には、どう響くのだろう?

第6位 エルビス・コステロ&ジ・アトラクションズ『オール・ディス・ユースレス・ビューティ』(1996)

4月にアトラクションズの盟友スティーブ・ナイーブとともに来日公演を行なうコステロ。というわけで、10年ぶりにアトラクションズ名義で発表されたこのアルバムをチョイス。シンプルなバンドサウンドをバックに、気持ちよさそうに歌うコステロのボーカルが魅力を放つ。ピアノやオルガンを自在に奏でるナイーブのプレイにも注目。

第5位 ヴァネッサ・パラディ『ビー・マイ・ベイビー』(1992)

東京2020が何かと問題ばかりだったこともあり、少々テンションが下がっている方も多いと思うが、何はともあれ2024年はオリンピックイヤー。100年ぶりのパリ開催ということで、パリジェンヌ代表、ヴァネッサ・パラディの大ヒットアルバムを選んだ。レニー・クラヴィッツのプロデュース、彼女にとって初の英語アルバム。「シルバー・アンド・ゴールド」はメダルの色の歌ではなく、金儲け重視の世界に対する批判ソング。営利主義に走る五輪も、いい加減、やり方を考え直すべき!?

第4位 ブラー『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』(1993)

デーモン・アルバーンは当時 “時代のサウンドトラック” としてこのアルバムを作ったと語っていたが、歌詞に耳を傾けながら今聴いてもメッセージは有効だ。毎日同じ広告ばかり見せられるウンザリ感を歌った「アドヴァード」、群れたがる人々の飢餓感や街の孤独を浮き彫りにする「ケミカル・ワールド」、そして必死に明日にしがみつく人生哀歌「フォー・トウモロー」。2024年はゴミのようなモダンライフから抜け出したいものである。

ヤケクソでもいいから、俺様で生きてみろ!

第3位 ジャミロクワイ『ジャミロクワイ』(1993)

思い出して欲しい。殺人的とまでいわれた昨年の記録的な酷暑を。そう、地球は確かにおかしくなっている! ジャミロクワイの、このデビュー作の原題は “Emergency on Planet Earth(=緊急事態の地上)” で、今がまさにそれかもしれない。気候変動だけでなく、飢餓や貧困も歌われる、社会意識の強い1枚。1曲目のタイトルではないが、“いつになったら気づくんだい?” と世界に問いかけたい。

第2位 ニルヴァーナ『イン・ユーテロ』(1993)

カート・コバーンが27歳の若さで、みずから命を絶ってから、今年でちょうど30年。彼の生前最後のアルバムとなった本作は、低音が効いているせいもあり、とにかく重い。歌詞をたどっても暗いものが多いが、生前のカートはポジティブな詞と解釈していると語ったこともある。このヒドい世界を生き抜くための思考をうながす、複雑な作品というべきか。裏を返せば、何度聴いても発見があり、重厚さを感じさせる名盤。

第1位 オアシス『オアシス』(1994)

ヒドい世界を生き抜くための1枚なら、こちらの方がよりわかりやすい。言わずと知れたオアシスのデビューアルバム。ニルヴァーナのネガティブなメッセージに対する返答とも言われているのは、“俺は生きたい、死にたくない”(リヴ・フォーエヴァー)という宣言からも明らか。「スーパーソニック」の “俺は俺でなければならない、他の誰かにはなれないんだから” という歌い出しの部分ににじむ自信。“ヤケクソでもいいから、俺様で生きてみろ!” そう思い込むことが必要な局面は、2024年にも必ずやってくるだろう。

少々説教じみたことも語ってしまったが、リマインダー世代の初老らしさということで、お許しを。ともかく、2024年が読者の方にとって良き1年となることを願いつつ、本稿はこれにて終了。おつきあい、ありがとうございました!

カタリベ: ソウママナブ

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