森保一監督が、佐藤寿人に“一週間の謹慎を宣告した”ときの葛藤とは…「修正してやり直すことを認める重要性」

『DAZN』は2日、日本代表監督を務めている森保一氏と、サッカー解説者の佐藤寿人氏による対談インタビュー動画の後編を配信した。

かつてサンフレッチェ広島時代に監督と選手の関係であった二人。その際に、佐藤寿人が森保一監督から「一週間の謹慎」を言い渡される事件があったとのこと。

それは2012年と2013年にJリーグを連覇したあと、2014年8月の鹿島アントラーズ戦が発端であったという。

佐藤「僕の恥ずべき行為なんですけど、鹿島戦でハーフタイムに交代を告げられたときに…握手を拒否して悪態をついたじゃないですか。僕も森保さんだから甘えもあってそのような行為をしてしまったかなと思うんです」

森保「選手の気持ちからすれば、『45分で替えやがって』という気持ちはすごくわかる。そして『後半修正して戦いたい』『もっとチームに貢献したい』『もっといいプレーをしたい』というところは尊重してあげたいというのはある。

私だから甘えがあったというのは嬉しいです(笑)。さらけ出してほしいですからね、悔しさや辛さという思いを。素で向かってきてほしいし、その分向き合いたいと思っているから。

ただ、あのときはチームの和を乱すようなことだったので…1対1のときならば問題はなかったけど、みんなが見ている前でやったので、ペナルティを課す必要があるかなと思って。

寿人には厳しいことをやってしまったけど、個で見れば全くそれはポジティブなこと。その気持ちはわかる。その思いはありました。

今も代表でいろいろなルールの中でやっていますが、交代させられるときはどこかストレスを感じるもの。できるだけ話せるときは話して、みんなで繋いで勝っていく。

交代枠も5人と多くなっているので、繋いで戦っていくということが必要。できる限りの説明や声掛けをしてあげたいなと思いますね。

監督としてというより、一人の人として向き合って。スタッフだって間違いや判断ミスをする。それは誰しもがあることなので、ダメなことが起こった時に修正して、やり直す。それはすごく大切なことだし、やり直しを認めるというのも大事です。

寿人はその時にまたチームのためにより強い気持ちを持って…寿人らしく戻ってきてくれたので」

ただ、当時サンフレッチェ広島のエースとして欠かせない選手であった佐藤寿人に謹慎を言い渡すのは、森保一監督でもかなり大きな葛藤があったようだ。

佐藤「引退してから指導者のライセンスを取っていますが、自分にとってはすごく大きな財産になったと思います」

森保「でもね、あのときの話で言うと…実はペナルティなしで練習しようかなと思ってたんですよ。でも鹿島戦のことを振り返って考えたときに、『このまま練習したら、それを他の選手も見ているよな』と思って。

他の選手はどんな状況だったんだろう、どういう考え方だったんだろうと思った時に、これはちょっと申し訳ないけどチームから外れてもらう…と考えないといけないと思って。

でも、寿人はチームにとってすごく大きな存在で大きな戦力だったので、外す側からしたら『勝つ確率が落ちる』。結構な葛藤がありながらも、チームとして必要な決断をしなければいけないと思いました」

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公の場で不満を表したエースに対し、チームの和を乱す可能性を感じて謹慎を命じたという森保一監督。佐藤寿人もその経験が大きな財産になったとのこと。

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