能登半島地震で被災した石川県からの依頼を受け、福井県は1月6日、石川県能登町の入院患者15人を坂井市の福井空港で受け入れた。航空自衛隊の大型輸送ヘリで運ばれてきた患者に災害派遣医療チーム(DMAT)の医師、看護師らが対応し、県内6病院へ搬送した。DMATが福井空港で患者を受け入れたのは初めて。
15人は柳田温泉病院(能登町)に元々入院していた要介護度の高い68~96歳。福井県によると、6日朝に石川県から「病院は断水している。スプリンクラーが壊れて水浸しになったことで病室でない場所へ患者を移している状況。病院機能の維持が難しくなってきているため、他の病院へ移したい」と受け入れの依頼があった。
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県から各病院を通じて派遣要請を受けた、5病院の医師、看護師、業務調整員のDMAT隊員23人が空港に集まった。DMATによると、空港駐車場には救急車11台が待機。空港1階ロビーに担架15台、毛布、ストーブ、点滴棒、血圧計などを配置し到着を待った。
能登町内の野球場を離陸した航空自衛隊ヘリ「CH47チヌーク」は午後3時40分ごろ、福井空港に着陸。患者は胸元などにカルテや内服薬を挟んだ状態で空港ロビーに運び込まれ、救急車で県立病院、福井大医学部附属病院、福井赤十字病院、済生会病院、福井総合病院、公立丹南病院へ搬送された。
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午後7時半にも2度目のヘリが到着する予定だったが、石川県内の悪天候で中止となった。
統括DMATの福井大医学部附属病院の林寛之医師は「搬送しないと命をつなげないほど、石川県内は悲惨な状況だとひしひしと伝わってきた。患者さんと家族の連絡がつかないまま搬送されてきた人もいて、苦渋の決断だったと思う。とにかく命をつなぐために活動した」と話した。
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