接触事故発生のSS1でトヨタ勢が速さを見せる。61歳のカルロス・サインツ2番手【ダカールラリー】

 1月6日、中東のサウジアラビアで行われているW2RC世界ラリーレイド選手権第1戦『第46回ダカールラリー2024』は、同国北西部のアル・ウラから西部のアル・ヘナキヤに至る“ステージ1”が行われ、同スペシャルステージを制したオーバードライブ・レーシングのギヨーム・ド・メビウス(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)が総合トップに立った。

 四輪部門の開始直後、スペシャルステージの開始地点からわずか200mの地点で観客と競技車両が接触しスペクテイターが負傷。その後、病院に搬送されるアクシデントが発生した影響で、スタート時刻が当初の10時15分から1時間遅くなったラリーの2日目で最速タイムを刻んだのは、かつてニッサンやマツダ、スバルなどでWRC世界ラリー選手権に参戦したグレゴワール・ド・メビウスの息子だった。

 前日のプロローグでトップタイムを記録した勢いに乗り、414kmのオフロードで争われた“ステージ1”でも速さを見せていたマティアス・エクストローム(アウディRS Q e-tron E2)を中盤281kmのウェイポイントで逆転したド・メビウスは、この後さらに318km地点でチームメイトに代わってトップに浮上したチーム・アウディスポーツ所属のカルロス・サインツ(アウディRS Q e-tron E2)のタイムも上回ると、そのままトップをキープし4時間35分59秒というタイムでフィニッシュを迎えた。

 このステージウインは29歳のド・メビウスにとって、アルティメット(T1U)クラスにデビューしてわずか2日で達成した最初の勝利となっている。

 過去3度の総合優勝経験を持つ61歳のサインツ・シニアは、1分44秒の後れを取りステージと総合順位の両方で2番手に。ステージ序盤から中盤まで好走を見せていた僚友のエクストロームは後半に失速し、最終的にトップから14分20秒差の10番手となった。

 総合3番手は5台体制で今大会に挑むTOYOTA GAZOO Racing(TGR)の一翼を担うジニエル・ド・ヴィリエール(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U)だ。2009年のウイナーである彼は4時間45分17秒というタイムでステージ1を走破。総合6、7番手につけた僚友のルーカス・モラエス、ガイ・ボッテリル(ともにトヨタGRダカールハイラックス・エボT1U)に先行した。TGR勢の間にはXレイド・アリユス・チームのバイダス・ザラ(ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・ラリープラス)が総合4番手、レベリオン・レーシングから参戦するロマン・デュマ(トヨタ・ハライックス)が総合5番手に入っている。

総合2番手につけたカルロス・サインツ(アウディRS Q e-tron E2) ダカールラリー2024
ジニエル・ド・ヴィリエール(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U) ダカールラリー2024
バイダス・ザラ(ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・ラリープラス) ダカールラリー2024

■王者アル-アティヤと前年2位のローブが揃って後退

 一方、前日のプロローグで2番手タイムを記録したTGR期待の“新星”セス・キンテロ(トヨタGRダカールハイラックス・エボT1U)は、トップのド・メビウスから23分24秒遅れ総合21番手に沈んだ。また、5日のショートステージで3番手タイのタイムをマークしていたセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)も2度のパンクとステアリングアームを交換する作業による遅れから総合20番手に。

 さらに、前年覇者であるナッサー・アル-アティヤ(プロドライブ・ハンター)もアクシデントに見舞われた。「最初の50キロで2回もパンクしてしまったので、その後はアタックすることができず、ただフィニッシュを目指した」と語った現王者は、この影響で首位と23分24秒差の総合22番手で最初のステージを終えることとなっている。

 新たに“ストック”と呼ばれることになった市販車部門で11連覇に挑むチームランドクルーザー・トヨタオートボデーは、前年クラス1位のロナルド・バソ(トヨタ・ランドクルーザーGRスポーツ)が7時間09分25秒でステージ1をフィニッシュし総合120番手。トヨタ車体の社員ドライバーである三浦昂(トヨタ・ランドクルーザーGRスポーツ)はチームメイトから4分弱のタイム差で総合127番手につけ、両名が部門ワン・ツーを築いた。トラック部門に参戦している日野チームスガワラの菅原照仁(日野600シリーズ)はクラス12番手で本格的なステージのオープニングを終えている。

 計142台が出場している二輪部門では、ヒーロー・モータースポーツ・チーム・ラリーのロス・ブランチ(ヒーロー450ラリー)が4時間56分01秒のトップタイムを刻み、前日の3番手から総合首位に浮上した。ステージ2番手タイムをマークし総合2番手につけるリッキー・ブラベック(ホンダCRF450ラリー)とのギャップは11分54秒だ。

 なお、プロローグランで最速タイムを記録してラリーリーダーとなったトーシャ・シャレイナ(ホンダCRF450ラリー)は、ステージ1中盤の240km地点でクラッシュを喫し手首を骨折してしまう。これによりラリー初日の成功から一転、デイリタイアを余儀なくされた。ブランチはアクシデントを起こしたホンダのライダーを助けるためにステージ上で時間を要したが、フィニッシュ後にその分のタイムを減算する措置を受けている。

ナッサー・アル-アティヤ(プロドライブ・ハンター)
二輪部門のトップに躍り出たロス・ブランチ(ヒーロー450ラリー) ダカールラリー2024
総合17番手につけたMスポーツ・フォード・ワールドラリーチームのナニ・ロマ(フォード・レンジャーT1+) ダカールラリー2024

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