安倍派の中堅議員逮捕 「もう派閥はなくせ」菅前首相が刷新本部で主張へ 今秋総裁選に向け政局化する可能性

菅義偉氏(資料写真)

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件は7日、安倍派(清和政策研究会)の中堅議員の逮捕へと広がった。今週中に「政治刷新本部」を発足するとした岸田文雄首相(党総裁)は早急な対策を迫られる。同本部特別顧問への就任要請を受けた菅義偉前首相(衆院神奈川2区)は周囲に「出席するからには『もう派閥はなくせ』とはっきり言う」との決意を明かしている。派閥制度の存続にこだわる首相とは真逆の関係で、今秋の総裁選に向けて政局化する可能性が高まってきた。

 「鬼の地検特捜部は震災とかも容赦ないんだな」。自民の閣僚経験者は能登半島地震の救援活動が行われているさなかの東京地検特捜部による逮捕に衝撃を隠さなかった。選挙区で新年会回りをこなす神奈川県内議員は「政治に関してはこの話ばかりただされる」と頭を抱え、「岸田総理が早く対策を打ち出さないと支持者らへ説明する材料がない」と嘆いた。

 自民議員が頼みとしている刷新本部だが「派閥ありき」の予防線がのぞく。岸田首相は4日の年頭会見で国民から批判を浴びている「派閥」という用語の使用を避け「政策集団」との表現で通した。さらに「若手育成の目的がある」と付言、存在を擁護してもいる。 

 菅氏に近い関係者によると、同氏は首相の発言に「派閥に入らねば新人教育を受けられない理屈を認めることになってしまう」と不快感をあらわにした。昨年の月刊「文芸春秋」のインタビューで「総理ら要職者は派閥を抜けるべきだ」と進言した経緯を踏まえ、「あらためて具体化と徹底を促していく」と語っているという。

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