犬に食べさせてはいけない『野菜』5選 NGな理由や与えてしまった際にでる危険な症状とは?

犬に食べさせてはいけない「野菜」

私たちにとっては体に良い野菜でも、犬にとっては絶対に食べさせてはいけない野菜もあります。玉ねぎやネギが、犬にとってはNGであることをご存じの方も多いと思います。

そこで今回は、犬に食べさせてはいけない「野菜」について解説します。すでに犬にはNGと知られている野菜から少し意外な野菜まで、詳しくご紹介します。

1.玉ねぎ・ネギ

玉ねぎ、ネギに含まれる成分であるアリルプロピルジスルフィドは、犬の血液中の赤血球を破壊し溶血性貧血を引き起こします。最悪の場合、犬が死に至ることもある非常に危険な野菜です。

犬が玉ねぎやネギを食べると中毒を起こし、初期症状として下痢や嘔吐、進行すると血尿や黄疸が見られます。

1日~数日後に症状があらわれることがほとんどなので、食べた日は元気でも油断はできません。たとえ加熱しても中毒成分は消滅しないので、カレーやハンバーグなどもつまみ食いされないよう十分注意しましょう。

なお、同じネギ属に分類される「ニラ」も、玉ねぎやネギ同様に犬に与えてはいけません。

2.にんにく

少々意外かもしれませんが、にんにくも前述した玉ねぎ、ネギと同じネギ属に分類されます。ですので、誤って食べてしまうと同じような中毒症状があらわれる可能性があります。

犬がにんにくを誤食してしまった場合の初期症状として、下痢や嘔吐、血尿がでます。血尿には尿に血が混じるものと、尿自体が赤く染まるものがありますが、にんにく中毒の場合は後者の尿自体が赤く染まる血尿がでます。

人間が食べる食品にも風味づけとしてにんにくが使われることもあるので、犬に与えたり誤食させないように注意が必要です。

滋養強壮が期待できるとしてニンニクが入っているドッグフードがありますが、中毒量を下回る量しか入っていないとされています。しかし、個人差がありますので注意は必要でしょう。

3.アボカド

アボカドと言えば「森のバター」と呼ばれるほど栄養価が高く、健康食のイメージがありますよね。しかし、犬に与えて良いかどうかは賛否が分かれています。

「少量なら大丈夫」という説もありますが、少しでも疑わしい場合は控えたほうが賢明ではないでしょうか。なぜなら、アボカドに含まれる「ペルシン」という成分によって下痢や嘔吐を引き起こす可能性があるためです。

ペルシンの摂取による健康被害の他、高脂肪&ハイカロリーのため犬にとっては過剰な摂取となり、肥満や糖尿病の原因になる可能性も。

さらに、万が一あの大きな種を誤飲してしまうと、喉に詰まったり腸閉塞を引き起こしてしまうかもしれません。

4.銀杏

イチョウの木になる実から採れる銀杏ですが、犬にとっては有毒なので食べさせてはいけません。

銀杏には中毒成分が含まれており、けいれんや意識障害を引き起こす可能性があります。人間でも40個程度食べると中毒症状があらわれると言われています。体の小さい犬ならなおさらです。

また、殻ごと食べてしまうと喉に詰まらせたり消化不良を引き起こします。

さらに、銀杏の柔らかい部分は外種皮と呼ばれており、犬が触れると皮膚が炎症してしまう可能性も。拾い食いも含めて、銀杏が落ちる季節の散歩中は特に注意しましょう。

5.山芋・長芋

山芋や長芋は、皮膚疾患をもつ犬には与えることは控えたほうが良いでしょう。これらを食べて口が痒くなった人もいると思います。これはシュウ酸カルシウムという成分により発生する現象です。犬に付着すると皮膚への刺激が強すぎて、皮膚疾患が悪化してしまうかもしれません。

また、このシュウ酸カルシウムは、尿路結晶や結石と同じ成分です。そのため、過去にシュウ酸カルシウム結晶ができた経験がある犬に、山芋や長芋を与えることは十分に注意してください。どうしても与えたい場合は、事前に獣医師に相談しておくと安心です。

まとめ

愛犬の健康維持のために、『栄養素が豊富で体に良い野菜を愛犬に与えたい』と思う飼い主さんは多いはずです。

しかし、今回解説したような「野菜」は、人間には問題がなくても犬の体にとっては絶対NGです。また、抱えている疾患や体調によっては、重大な健康被害に繋がる恐れもありますので、初めて与える場合は獣医師に確認することをおすすめします。

大切な愛犬にはいつまでも元気でいてほしいものです。飼い主さんがしっかりと食の管理をしてあげてくださいね。

(獣医師監修:平松育子)

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