愛子さま “歴代で最も祭祀に熱心”天皇陛下から受け継がれる「国民のための祈り」

1月1日、愛子さまは上皇ご夫妻に新年のご挨拶のため仙洞御所を訪問された

4年ぶりに、女性皇族の方々がティアラを身に着け、年頭に開かれる祝賀行事に臨まれた元日。愛子さまは行事で忙しいなか、上皇ご夫妻へのご挨拶のため仙洞御所を訪問された。国民生活の窮状を案じられる愛子さまのティアラは、今も叔母の黒田清子さんから借り受けられているものだ。

そんな愛子さまのご表情には、新しい一年への決意が浮かんでいるようにも見えた。宮内庁関係者は、こう拝察したという。

「年末年始は、宮中祭祀が多い時期。祭祀は国民の幸せと国の繁栄を神々に祈るもので、皇室にとって大切なものとされています。

成年されて以降は愛子さまも、連綿と続く祈りに立ち会われてきました。昨年末の12月25日には大正天皇例祭の儀にも参列されておられますし、改めて皇室を支えていくお気持ちを固められていたのでしょう」

皇居内にある宮中三殿で執り行われる大祭などの祭事では、殿内に入られて祭祀を行われるのは、正式な装束をまとわれた天皇皇后両陛下、皇嗣同妃両殿下、祭事を補佐する掌典職などに限られる。ほかの皇族方は、原則として庭上で拝礼されることとなっている。

「こうした祭祀がどのように行われているのかは、庭上から垣間見ることはできません。ただ愛子さまは、両陛下の唯一のお子さまとして、陛下と雅子さまによる“国民のための祈り”を日常的にご覧になっています。

陛下は、皇太子になられた1989年以降、ご公務などでご都合が合わないとき以外には、宮中祭祀に一度も休まずに臨まれてきました。掌典職のなかには、“歴代天皇のなかでも、もっとも祭祀に熱心に取り組まれているのではないか”という評価が定着しているほどなのです」(前出・宮内庁関係者)

年末年始に数多く執り行われる祭祀には、どういったものがあるのか。神道学者の高森明勅さんはこう話す。

「まず年末には、節折(よおり)という天皇のために行われるお祓いや、皇族と国民のためのお祓いである大祓(おおはらい)で、清らかな状態で新しい年を迎えるという祭祀があります。

そして、元旦に行われる四方拝は、1月1日の午前5時半から、寒い屋外で執り行われます。最大限丁重に、全身を使って行う『起拝』と呼ばれる特別な拝礼を4回ずつ、伊勢神宮や四方つまり東西南北の天皇陵や、神々に向けて行います。これは天皇にしか行えない祭祀であり、代拝はできません」

“天皇にしかできない”祭祀は、四方拝だけではなく、陛下はその後にも祭祀に臨まれている。そのご負担は、過酷そのものだ。

「四方拝にあたっては、装束のご準備などがありますから、どんなに遅くても午前4時前には起きていなければなりません。さらには、四方拝の後に歳旦祭、3日には元始祭、4日には奏事始と、立て続けに祭祀や行事があり、心身へのご負担は相当なものなのです」(皇室ジャーナリスト)

陛下がご自身に“重責”を課され続けているのは、700年前の“訓戒の書”に天皇としてのなさりようを学ばれているからだと、前出の高森さんは指摘する。

■愛子さまが学ばれる日常にある“祈り”

「1982年、学習院大学ご卒業に際しての記者会見で、鎌倉時代の花園天皇が皇太子量仁親王(のちの光厳天皇)に宛てて記した『誡太子書(かいたいしのしょ)』について語っていらっしゃいます。同書については、皇太子時代、ご即位後にも記者会見でたびたび言及され、大切にされていることを述べられてきました」

その内容は、皇室の将来を案じる花園天皇が、学問を修め、人格を磨く大切さを説きながら、皇太子を強く戒めるものだという。

「この『誡太子書』には、“誇るに足る功績もないのに、人々の上に君臨することは、自分で恥ずかしく思わないのか”などと、叱責にも近い厳しい言葉が綴られているのです。しかし皇太子となられる前にも、陛下は『非常に深い感銘を覚えます』と述べられています。そのころから、将来天皇となられるご自身を、厳しく律しておられたということです。

祭祀に対する向き合われ方を基本にした“皇室の祈り”を、敬宮さまも日々の生活を過ごされるなかで、しっかりと学ばれておられるのでしょう」(高森さん)

こうした陛下のなさりようを、共に生活される愛子さまは間近で見続けてこられているのだ。

美智子さまの古希を記念し、取りまとめに黒田清子さんが深く関わったという『皇后さまと子どもたち』(毎日新聞社)には、宮中祭祀が深夜に及んだ際に、お子さまたちも眠らずに過ごされていることを記した一節がある。

《このような祭祀の夜は『およふかし』と御所で呼ばれておりましたが、(中略)それぞれにこのお時間を最後まで静かにお過ごしになるようになりました。終了のお知らせが参りますと、お二階の両陛下のお部屋までいらっしゃった宮様方の、『お滞りなく……』『おやすみなさい』とおっしゃるお声が次々と響き、祭祀の終わった安堵を感じるものでございました》

宮中祭祀が集中する年末年始。愛子さまは、まさに正月返上で両陛下のなさりように接し、さらなる研鑽を積まれているようだ。

「幼いころから愛子さまは、祭祀の重要性について両陛下に聞いておられるようですし、両陛下もご経験とご知見を話していらっしゃるそうです。

ちなみに『誡太子書』の原本は、古典文学を専攻される愛子さまが日常的に足を運ばれてきた宮内庁書陵部にあります。きっと愛子さまは陛下と一緒に、“訓戒の書”が指し示す教えについて、話し合われているのでしょう」(前出・皇室ジャーナリスト)

愛子さまは今年もご自分を律しながら、国民の安寧と幸せを祈られていくことだろう。

© 株式会社光文社