“辰年”は波乱含みの年?過去の例と今年の注目イベントから今年の株式市場を予測する

2024年がスタートしました。元日に石川県を震源とした震度7の地震が発生しました。被害に遭われた方々には、心よりお見舞いを申し上げると共に1日も早い復旧を願っております。


2024年は“甲辰”

2024年の干支は甲辰(きのえ・たつ)です。干支とは10年周期の十干(じっかん)と12年周期の十二支の組み合わせで表されます。甲は「木の芽が吹く」を意味し、辰は十二支で唯一の架空の動物で「陽の気が動き万物が振動し大きく成長しする」とされています。このように勢いよく活気にあふれる様子から「新たな生命が成長する」「これまで準備してきたことが形になる」など、縁起の良い年とされています。2024年は新NISAの開始や東証による企業改革などが株式市場に新たなムーブメントを起こすことになりそうな気配です。

株式相場では“辰巳天井”という言葉がよく聞かれます。天井とは、「高値で推移」、「高値をつける」という意味です。尚、十二支別でみた、過去の日経平均年間騰落率を見ると辰年は4勝2敗ですが、上昇率は28%と最も高くなっています。

過去の辰年にはバブルの絶頂も

少し振り返ってみると今から36年前の1988年は、いわゆるバブル経済の真っ只中でした。私が証券会社に入社したのも1988年です。銘柄の手サインを必死に覚え、東京証券取引所内で場立ちをしていたのでとても印象に残っています。今では考えられないでしょうが、手作業で山積みの注文伝票を処理し、毎日本当に忙しかった記憶があります。

翌年の1989年に日経平均株価がピークを迎え、大納会に38915.87円で終了しました。しかし、その内訳は先物絡みで指数採用品薄株が急騰したためであり、主力株は前年の1988年に高値をつけた銘柄が多かったです。

24年前の2000年は、米国を中心としたITバブルが崩壊しました。世界的に影響を及ぼし日本市場も下落しました。12年前の2012年は、安倍政権誕生によるアベノミクス効果が、株式市場の上昇を後押ししました。アベノミクスにより「億トレ」や「億り人」と呼ばれる資産1億円を築く専業トレーダーが多く現れるようになりました。こうして過去の辰年を振り返ってみると、大きな上昇や思わぬ下落もあり「波乱含みの年」というイメージが強い感じがしますが、皆さんはどう思われるでしょうか。

2024年の注目のイベント

2024年に予定されている主なイベントは、TSMCの子会社JASMが建設している工場の開所式が2月24日の予定で進んでいるとの報道があります。7月には新しいデザインの紙幣の流通が開始されます。7~8月にフランス・パリにてオリンピック・パラリンピックが開催されます。9月に自民党総裁選、11月には米大統領選挙が予定されています。目玉としてはやはり米大統領選挙となりそうです。今後4年間の米国の行方を誰が握ることになるのか、どのような政策を打ち出してくるのか、大変気になるところです。この時期は米国の一挙手一投足に注目です。

そして前述の通り、東証はさらに改革を加速させる気配です。昨年から上場企業に対し【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】に関して具体的な内容の取りまとめを要望しています。親子上場や政策保有の解消、低PBR(株価純資産倍率)の改善などの更なる徹底が挙げられます。また各企業のROE(自己資本利益率)を意識する動きは増配などにも繋がっています。昨年、株主優待を廃止して配当金を増やした企業は約30社にも上りました(筆者調べ・特別増配は除く)。今年も同様の発表を行う企業が増えそうです。

また、2025年3月以降に到来する基準日から、全ての上場企業に対して本来の上場維持基準が適用されることになり、上場基準を満たしていない企業の改革もありそうです。定めた水準に達しない企業は市場からの撤退を余儀なくされそうです。

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