犬の被毛、切りすぎるとどうなる?やりすぎがダメな4つの理由と適切な長さとは?

1.虫に刺されやすくなる

犬の被毛には、皮膚を守る役割があります。そのため、被毛を切りすぎて皮膚が露出すると、様々な外的刺激を受けやすくなってしまいます。

身近な刺激として考えられるのが、蚊やノミ、ダニなどによる「虫刺され」です。被毛がたっぷりある状態だとなかなか皮膚まで達することができない害虫も、皮膚が露出していると簡単についてしまいます。

「サマーカット」として夏に被毛を短くする人が多いと思いますが、暑い時期や湿気の多い時期は害虫も活発な動きを見せるので、注意が必要です。

2.皮膚が傷つきやすくなる

皮膚を守る被毛が少ないと、どうしても皮膚が傷つきやすくなってしまいます。草むらに入ったり、地面に寝っ転がったりしたとき、小石や枝、尖った草などで傷ついてしまうのです。

被毛がたっぷりある場合は、普通に生活をしている場合余程のことがなければ皮膚に傷がつくことはないでしょう。

また、物が落ちてきたなどちょっとしたトラブルが起きた場合も、被毛がクッションとなって傷や怪我を防いでくれることがあります。

3.紫外線による悪影響を受ける

犬の皮膚は人間の約1/3程度の厚みしかなく、非常にデリケートです。そのため、被毛は刺激に弱い皮膚を守るためにも、欠かせないものなのです。

夏の暑さ対策として、スタンダードよりも被毛を短くする「サマーカット」を選ぶ飼い主さんも少なくありません。しかし、夏の日差しはとても強く、皮膚が見えてしまっていると紫外線によるダメージを受けることがあります。

皮膚が日焼けして炎症を起こしたり、乾燥してふけが出るようになったり、ひどい場合では軽いやけどのような状態になってしまうこともあるでしょう。紫外線による皮膚ダメージは、屋外だけでなく室内にいても起こるものです。

そのため、日差しの強い暑い季節だからこそ、短くカットしすぎない方がいいとも考えられます。

4.毛質が変わる、毛量が減る

被毛をバリカンで短く刈りすぎたり、頻繁にカットをくり返したりすると、元々の毛質とは変わってしまう場合があります。元々はふんわりと柔らかだった被毛が、刈ることをくり返していたらごわごわになってしまった…という事例は少なくないようです。

また、元通りの長さには戻らなくなったり、毛量が少なくなってしまったりすることもあるようです。必ずこのようなトラブルが起こるわけではありませんが、過度なカットはこのようなリスクもあると覚えておきましょう。

どの程度の長さが適切かという明確な基準はありませんが、皮膚が透けて見えてしまうほど短くするのはあまりおすすめできません。元々短毛の犬種の場合は、密度が高かったり毛が太かったりして、短くても地肌が見えませんが、長毛犬種は短くカットすると皮膚が透けてしまいがちです。

そのため、少なくとも8~10mm程度は残してカットすることをおすすめします。15mmほどあれば、ボリュームも出やすいので怪我や虫刺されによるトラブルも起こりにくいでしょう。

まとめ

犬の被毛を短くカットすると、通気性がよくなって蒸れによる皮膚トラブルが減ったり、お手入れしやすくなって毛玉が減ったり、様々なメリットがあります。暑い時期であれば、熱中症リスクを減らすこともできるでしょう。

しかし、必要以上に短くカットしすぎると、反対に皮膚がダメージを受けやすくなったり毛質が変わったり、というようなデメリットもあることを覚えておいてください。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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