埼玉の新成人7万254人、各地どんな成人式に 人数はピーク時の53.7%に減、前年より増加したのは34市町 病気で母を亡くした女性、一人で育ててくれた父に感謝

茶をたしなむ振り袖姿の新成人=7日午後、久喜市下早見の久喜総合文化会館

 2024年に成人式を迎える埼玉県内の二十歳の「新成人」は、前年より245人減の7万254人(23年11月1日現在)で、4年連続の減少となったことが県教育局の調査で分かった。ピーク時の約53.7%に減っている。自治体別では全63市町村のうち、前年比で減少したのは28市町、増加は34市町で、東秩父村は前年と同数だった。県内の成人式は7、8日に全市町村で行われ、7日は46市町村、「成人の日」の8日は17市町で実施される。

 調査では新成人の男女別人数について21年度から集計していない。同局生涯学習推進課は「(21年度に)人権などに配慮した自治体からの回答が得られなかったため」としている。

 県内の新成人は1980年代に増加傾向となり、第2次ベビーブーム(団塊ジュニア)世代が成人した93年にピークを迎え、13万613人を記録した。以降は減少傾向が続き、99年に10万人を下回った。今後も減少が予想される。

 自治体別の人数は、さいたま市が1万2640人で最も多く、最少は東秩父村の18人だった。減少率が最も高かったのは横瀬町で25.0%(前年度比24人減)。増加率は小鹿野町の16.5%(同13人増)が最も高かった。

 成人式は各市町村で「二十歳のつどい」や「20歳を祝う会」といった名称で行われ、式典のみを行うのは21市町村。42市町では式典と併せて記念行事などの催しを実施する。また、新成人が式の企画・運営に参加しているのは49市町村で、そのうち29市町では新成人が式を主催している。

 式典と併せた催しの最多は「恩師の言葉・ビデオメッセージ」で、「記念撮影」「フォトスポットの設置」と続いた。記念品を贈る自治体は44市町村で、記念写真を贈る自治体が16市町村と最も多くなっている。

 川口市や所沢市、越谷市など7市町が複数の会場で式を実施する。

■久喜市も1369人の門出祝う 茶会を開催

 「久喜市二十歳の成人式」が7日、市内3カ所で開かれ、本年度に20歳の誕生日を迎える1369人の門出を祝った。ウエディングプランナーを目指す大川美優さん(19)は「前を見られる大人になりたい。世界中の人々を幸せにしたい」と元気に答えた。

 成人式の会場の一つ、同市下早見の総合文化会館では、日本の伝統文化に触れてほしいと、地元茶道連盟、陶芸家らが茶会を開催。新成人が和の文化に触れる姿が見られた。新成人へのはなむけに「主人公」と記した短冊を掲げ、自分らしく生きてほしいとの思いを込めた。

 小学校からの同級生が茶会に参加。成人への思いを聞くと、保育士を目指し大学に通う吉岡咲妃さん(19)は「成人と言われてもまだ実感がない。誕生日が来たらお酒を飲んでみたい」、外国語専門学校に通う深沢聖那さん(20)は「ここまであっという間だった。語学を生かした仕事に就きたい。成人になったから税金や年金を納めないと」と笑顔を見せた。

■横瀬町は70人、町内1中学校という強み

 横瀬町は7日、町民会館で「二十歳のつどい」を開催し、本年度に20歳を迎える若者約70人が出席した。町内に中学校が1校という強みを生かし、中学3年時の教員らも祝福に駆け付けてアットホームな式典を演出。華やかな振り袖やはかまなどに身を包んだ若者たちは、マスクなしで記念撮影に臨み、恩師たちに笑顔を届けた。

 大学生の大橋彩萌さん(20)は、13年前に母親を病気で亡くして以降、一人で育ててくれた父親に感謝の気持ちを伝えた。ひとり親の苦労をずっと見てきた大橋さんの将来の夢は小学校の先生。「子どもの笑顔のために頑張りたい」と意気込んだ。

 会社員の田部田咲人さん(20)は「町の少子化が急速に進んでいるので、子どもや若者が集える場をつくっていきたい」と熱く語る。能登半島地震の影響で、記念式典を開けない若者がいる現状を憂い、「われわれが開催できていることに感謝したい。式典後に仲間で義援金を呼びかけ、被災地に寄付する」と話していた。

笑顔で記念撮影する出席者=7日午前、横瀬町横瀬の町民会館

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