フリースクールの料金 一部無償化 岡山のNPO、経済的負担減へ

利用料の一部無償化を始めた「無花果もえぎフリースクール」。右奥が中藤理事長

 NPO法人無花果(いちじく)(岡山市北区駅元町)は不登校の児童生徒を受け入れる「無花果もえぎフリースクール」(同所)の利用料金を午前の週1回に限り無償化した。家庭の経済的負担を減らして、より多くの子どもたちに利用してもらうのが目的。市民らから広く運営費の援助を募り、将来の完全無償化を目指す。

 同フリースクールは火曜から金曜までの週4日、午前10時から午後5時まで小中高校生を受け入れている。今回無償化したのは火~木曜の午前の部(午前10時~午後1時半)で、新たに1日約10人を受け入れるという。通常の利用料は午前の部、午後の部(午後1時~5時)とも5千円。火~木曜は勉強などをして自由に過ごしてもらい、金曜はスポーツやレクリエーションの集団活動を無料で行っている。

 同フリースクールは2021年9月に設立。大学生や元校長、元適応指導教室の責任者ら約10人が運営に関わっている。保護者からの相談に応じるうちに、経済的に苦しいため利用回数を減らさざるを得ない家庭が多いことを実感。昨年4月から無償化に向けた募金活動をスタート。岡山県内の企業や市民から善意を募った。

 不登校の児童生徒が全国的に増え続ける中、学校外の学びの場であるフリースクールの役割が増しているが、家庭の経済的負担が大きいことが課題となっている。文部科学省の調査(2019年)では、フリースクールなどの民間施設への利用料の補助制度を設けている教委は全国で8%にとどまっており、岡山県内でもほとんど行われていないとみられる。

 施設を運営するNPO法人の中藤寛人理事長(26)は「家庭の経済的事情によって子どもたちの学習の機会が減ってしまう事態をなくしたい。フリースクールへの善意を今後も募り、さらに無償の日を増やす」と話す。

 フリースクールの利用や資金提供に関する問い合わせはもえぎ(070―8446―7663)。

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