優勝者へのジョークが物語る? LIV台頭でPGAツアーから“タレント”は減ったのか?

クリス・カークも表彰式の“ジョーク”に苦笑い?(撮影/田辺安啓(JJ))

◇米国男子◇ザ・セントリー 最終日(7日)◇プランテーションコースatカパルア(ハワイ州)◇7596yd(パー73)

クリス・カークが制した2024年シーズンの開幕戦、表彰式のちょっとしたやり取りが笑いを誘った。「今週はコンドミニアムに泊まっているんだ」というカークに対し、司会者から「じゃあ、もう来年の分も予約できるね!」と力強いひと言。2022年のキャメロン・スミス(オーストラリア)、23年のジョン・ラーム(スペイン)と優勝者が2年連続でLIVゴルフへ移籍して不在となったことを意識しているのは明らかだった。

今季から始まり、8試合が組まれているシグニチャーイベント(昇格大会)の初戦。出場資格は前シーズンの優勝者、23年のプレーオフシリーズ第2戦「BMW選手権」まで残ったフェデックスカップランキングのトップ50などに限定され、今週不在だったロリー・マキロイ(北アイルランド)を加えれば、それが現在のPGAツアーで“最強”のフィールドになるはずだ。

世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー、年間王者のビクトル・ホブラン(ノルウェー)が引っ張り、ジョーダン・スピースやコリン・モリカワ、松山英樹といった常連組も健在。昨年プロ転向して11月には優勝も飾った24歳のルドビグ・アバーグ(スウェーデン)のように楽しみな若手も出てきた。間違いなくハイレベルでも、どこか物足りなさを感じてしまうのは気のせいだろうか?

大会優勝者に名前を刻んだメジャー覇者たちもLIVに移籍

今週出場した59人のうち、メジャー優勝経験者は11人。LIVへの移籍が始まる前だった21年(9人)より多く、22年(11人)と変わらない(いずれも当時メジャー未勝利の選手を除く)。ただ、重複出場も含めてカウントすると21年から14人(出場42人)、22年からは13人(同39人)が新リーグに移った。

世界中から選手が集まるPGAツアーとはいえ、これだけの数が離れていった。個性の強い選手も少なくない。フィル・ミケルソン、ブルックス・ケプカ、ダスティン・ジョンソン、ブライソン・デシャンボー、パトリック・リード、セルヒオ・ガルシア(スペイン)、そしてラーム…。

LIVへの世界ランキング適用は実現に至らず、昨年末の合意を目指したPGAツアーとサウジアラビア政府系のファンド、PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)との統合に向けた交渉も期日を延長して24年に持ち越された。不透明な状況ゆえ、それぞれの所属選手が同じフィールドで戦うメジャーが貴重な機会となり、その“価値”は高まっていくのかもしれない。(ハワイ州カパルア/亀山泰宏)

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