故田中角栄元首相宅敷地で火災 真紀子氏ら無事、東京

煙が上がる故田中角栄元首相宅付近=8日午後4時16分、東京都文京区(共同通信社ヘリから)

 8日午後3時20分ごろ、東京都文京区目白台1丁目の故田中角栄元首相の旧邸宅付近から煙が見えると110番があった。警視庁大塚署によると、出火したのは旧邸宅敷地内の2階建ての建物で、約800平方メートルを全焼した。敷地内には当時、元首相の長女で元外相の真紀子さん(79)と夫で元防衛相の直紀さん(83)の2人がいたが、けがはなかった。

 真紀子さんは「火元の建物で線香をあげていた」と説明しているといい、東京消防庁や大塚署が出火原因を調べている。

 旧邸宅は元首相の私邸で「目白御殿」と呼ばれた。角栄氏が首相の座にあった1972年から74年を中心に、陳情や政治家らの来訪が後を絶たず、国政を動かす“舞台”で、元首相の金権政治の象徴だった。敷地内にあった池のコイは1匹100万円とも言われた。

 ロッキード事件では贈賄側が賄賂の申し込みをした場とされ、76年7月に逮捕された際も、東京地検特捜部の検事にここから任意同行を求められた。70年代には、当時中国の副首相だった故トウ小平氏も訪れた。

故田中角栄元首相宅付近で活動する消防関係者=8日午後5時5分、東京都文京区

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