香川・直島の育児環境充実へ意欲 移住の母親ら支援の輪広げる

キッズポートの子育て支援拠点を利用する親子=直島町総合福祉センター

 香川県直島町の移住者らでつくる一般社団法人「キッズポート」が、子育て支援の輪を広げている。現代アートの島として注目され若い世代の移住が増える中で、独自に放課後児童クラブや親子向けのイベントを展開。島の育児環境を充実させて、さらなる移住・定住につなげようと意欲をみせる。

 人口約3千人の同町は近年、県外を中心に毎年100人以上の移住者があり、そのほとんどを40代以下が占める。ただ地縁のない若者が気軽に頼れる場が少なく、従来の支援制度も利用しづらかったという。

 町が移住者を対象に開いた座談会を契機に、地域おこし協力隊員だった山岸紗恵さん(42)ら母親4人が2020年3月に「キッズポート」を設立。子育て支援拠点として町総合福祉センターの一室を常時開放し、子どもや親子が自由に遊具などで遊べるようにした。

 「いつでも立ち寄れ、親同士でいろいろな相談ができる場を提供することが大切」と事務局長の植松清華さん(41)。息子(2)と利用する女性(35)は「安心して遊べる場はとても助かる。知り合いが少ないので、他のお母さんたちと話せて息抜きにもなる」という。

 昨年3月には日本財団の助成を受け、児童の放課後預かり事業を行う新施設「ナオシマ セイラーズ クラブ」(木造2階、延べ約200平方メートル)を新たに整備、オープン。子どものアート活動や調理実習、工場見学といった体験プログラムにも力を入れる。10月には東京からプロの演出家を招き、利用する児童らによる演劇公演を開催した。

 施設内にはカフェも併設し、賛同する母親らが運営スタッフに加わっている。山岸さんは「何が必要とされているかを話し合い、それぞれが自分らしい子育てをできる環境づくりを進めたい」と話す。

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