「ガザは血の海」WHOテドロス事務局長、ガザ地区中部の最重要病院から職員避難と報告

 イスラエル軍がガザ地区を主な拠点とする過激派組織「ハマス」のせん滅のため進攻してから3ヵ月が経ったが、攻撃は収束の気配を見せず、WHOをはじめとした医療機関と医療関係者が危険に晒される状況が続いている。7日夜、WHOのテドロス事務局長は地震のSNSアカウントで、ガザ地区中部の最も重要な基幹病院「アル・アクサ病院」周辺の戦闘が激化しイスラエル軍による退避命令が出たため、患者を残してほとんどの医療関係者が退去したと報告した。

残った医療従事者はわずか5人、食糧もなし

 テドロス氏が投稿した内容によると、現地時間7日未明にWHOとOCHA(国連人道問題調整事務所)のスタッフがガザ地区中部の基幹病院である「アル・アクサ病院」を訪れたところ、周辺の戦闘激化のためイスラエル軍から退避命令が出され、退去せざるを得ないことが分かった。病院経営者によると残るのはわずか5人で、しかも食糧が尽きているとの報告を受けている。

 同氏はスタッフが撮影した報告の動画を紹介するとともに、病院の惨状を生々しい表現で報告した。血まみれの床で、多数の負傷者などで騒然としたなか治療を受けていること、身元不明の子供がベッドの上でシーツに一部覆われた状態で死んでいたこと、あまりに運び込まれた傷病者が多いため多くは床に放置され、足の踏み場もなく踏まれることもあり、痛みか苦悶か分からない男性のうめき声が病棟中に響いていたことなどを伝え、「ガザの血の海を終わらせなければならない」と強い言葉で戦闘が終わらない状況を非難した。

 同病院がほとんど機能停止に陥っていることを受け、WHOはこの病院に緊急支援チームを派遣することを決定した。しかしそのためには安全が確保されなければならないとし、このような人道危機が続くことは考えられず、道徳的にも医学的にも暴挙だと断じ、即時停戦を求めている。

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