熱戦の臨場感を肌で 大田原の王将戦で大盤解説 ファン142人、熱戦見守る

多くの将棋ファンの前で行われた大盤解説会=8日午後4時55分、大田原市黒羽向町

 将棋の藤井聡太(ふじいそうた)王将(21)に菅井竜也(すがいたつや)八段(31)が挑む第73期王将戦7番勝負第1局の2日目が行われた8日、会場の大田原市黒羽向町のホテル花月ではプロ棋士による大盤解説会が開かれた。県内外から訪れた142人の将棋ファンが耳を傾け、熱戦を見守った。

 解説会は午前10時から始まり、塚田泰明(つかだやすあき)九段(59)と松本佳介(まつもとよしゆき)七段(52)らが壇上に立った。将棋ファンは初日の流れや各手の意図を聞きながら、スクリーンに映る対局映像を通して戦いを肌で感じていた。

 対局は両者とも「玉」を深く囲う穴熊囲いの展開。大田原市、矢板東高付属中2年佐原康仁(さはらやすひと)さん(14)は「互いにどう相手の陣地に攻めて、守るのか気になる。会場での解説は臨場感がある」と声を弾ませた。持久戦の様相に父哲也(てつや)さん(51)は「勝負が決まるのは遅くなりそう」と早くも夕食用に軽食を調達していた。

 一手に数十分かかる長考もある中、藤井王将の「次の一手」の3択予想も実施。地元特産品が当たる抽選会などもあった。

 局面が終盤に差し掛かると前のめりで聞き入るファンも増加。午後6時半ごろに勝負が決すると、歓声と拍手が上がった。藤井王将と菅井八段があいさつに訪れると、会場は万雷の拍手に包まれた。

 藤井王将の姿を撮影した鹿沼市楡木町、農業桐生(きりゅう)克己(かつみ)さん(53)は「終盤に穴熊をはがし合う攻防は迫力があった。菅井八段の盛り返しにも期待したい」と興奮気味に話した。

 参加費30万円の「プレミアム企画」に参加した5人は個室で解説を聞き、藤井王将と同じ昼食やおやつを食べ、感想戦に立ち会ったりした。千葉県柏市の女性(68)は「藤井さんを対局室で間近に見られて良かった」と満足していた。

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