宇都宮で無理心中か 男児2人死亡し母親一時意識不明 栃木県警、殺人容疑視野

男児2人の遺体が見つかった住宅や車を調べる捜査員=8日午後1時40分、宇都宮市上戸祭町

 7日午後10時ごろ、宇都宮市上戸祭町の住宅で、母親(33)といずれも保育園児の息子2人が倒れているのを帰宅した父親(32)が見つけ、「子ども2人と母親の意識がない」と119番した。駆け付けた消防隊員が男児2人の死亡を確認。母親は腹部に外傷を負い、意識不明の状態で救急搬送された。その後、意識が回復したという。県警は母親が無理心中を図った可能性があるとみて、殺人容疑を視野に捜査している。

 県警によると、死亡したのは長男(4)と次男(2)。

 家族は夫婦と兄弟の4人暮らし。住宅は2階建てで、3人は1階のリビングでマットの上に並んであおむけに倒れ、毛布がかかっていた。県警は8日、自宅を現場検証した。

 司法解剖の結果、男児2人の死因は首を絞められたことによる窒息死で、目立った外傷はなかった。

 母親の腹部には刃物で切ったような傷があり、近くには包丁があった。室内からは夫に宛てたとみられる手書きの遺書のようなものが見つかった。住宅に荒らされた形跡はなく、家の鍵は閉まっていた。父親は宇都宮中央署の調べに、6日朝の出勤時に3人と会ったのが最後と話している。

 県警は母親の容体の回復を待って事情を聴く方針。

 家族の知人からは突然の出来事に驚く声が聞かれた。近所の30代女性は子ども同士が同じ年ごろで、母親や亡くなった兄弟と近所の公園でよく顔を合わせていたという。「お母さんは笑顔で明るくあいさつしてくれるすてきな人。お子さん2人は元気いっぱいの男の子だった」と印象を語る。

 1カ月ほど前、兄弟が「パパとコンビニに行く」と元気に話し、父親と3人で仲良く出かける姿が記憶に残っている。「仲のいいご家族だったのに、まさかこんなことになるなんて…」と声を落とした。

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