利益が2.22倍に拡大「山崎製パン」が負ののれん益を計上

山崎製パンの商品

山崎製パン<2212>が、2023年12月期の業績予想を上方修正した。

菓子パン部門を中心に販売が好調に推移しているのに加え、買収したYKベーキングカンパニー(大阪市)を連結対象にしたのに伴い発生した特別利益を計上したためだ。

同社はコロナ禍の影響でコンビニエンスストアなどでの売り上げが減少した2020年12月期に減収減益に陥ったが、その後は回復し、2023年12月期は4期連続の増収増益となる見込みで、当期利益は前年度の2.22倍に、コロナ禍前の2019年の1.98倍に達する。

売上高が1兆円を超える大企業であっても、M&Aの影響は小さくはないようだ。

今期2度目の上方修正

山崎製パンは、製パン会社の神戸屋(大阪市)から2023年3月末に譲り受けた包装パン事業を手がけるYKベーキングカンパニーを、2023年12月期第4四半期(2023年10月-12月)に連結対象にした。

その際に生じた負ののれん発生益(のれんは買収した企業の純資産と買収価格の差額のことで、負ののれんは買収価格が純資産を下回った際の差額)26億3300万円を特別利益として計上するとともに、2023年12月期の業績予想を2023年12月21日に上方修正した。

同社は2023年8月に、食パンや菓子パン部門を中心に販売が好調だったことを理由に、2023年2月に発表した業績予想を上方修正しており、今回の修正は2度目となる。

今回の修正では売上高を前回修正から390億円(増加率は3.4%)多い1兆1720億円(前年度比8.81%増)に、本業の儲けを示す営業利益を同55億円(同16.2%)多い、395億円(同79.28%増)にそれぞれ引き上げた。

特別利益を計上し影響の最も大きかった当期利益は同75億円(同37.5%)多い、275億円(同2.22倍)に修正した。

当期利益はコロナ禍前の2019年12月期に138億5800億円に達したあと、2020年12月期に半減。その後は回復軌道をたどっていたが、2023年12月期に一気にコロナ禍前の2倍ほどにまで膨らむことなった。

2023/12は予想

10年ぶりのM&A

YKベーキングカンパニーは、神戸屋の包装パン事業などを会社分割によって承継した企業で、包装パン事業と子会社が手がける総菜などのデリカ食品事業を展開している。

対象事業にかかわる東淀工場(大阪市)や寝屋川工場(大阪府寝屋川市)、東京工場(埼玉県戸田市)をはじめ、子会社のマルト神戸屋(浜松市)やマツヤ神戸屋(松江市)などの資産を引き継いだが、同事業の当時の売上高や利益などは明らかにしていない(神戸屋の2021年12月期の売上高は390 億 9700 万円)。

山崎製パンは2012年に製麺業の大徳食品と、インドネシアのパン類製造卸売業のPT YAMAZAKI INDONESIAを子会社化しており、今回のM&Aはこれ以来およそ10年ぶりとなる。

文:M&A Online

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