締めくくりは「引きずり餅」 幕末から続く、川越「南大塚の餅つき踊り」 4年ぶりに完全な形で実施

さまざまな動きをしながら餅をつく南大塚餅つき踊り保存会のメンバー=7日、埼玉県川越市南大塚の西福寺

 踊るような所作を交えながら餅をつく埼玉県指定無形民俗文化財の「南大塚の餅つき踊り」が7日、川越市南大塚の西福寺などで行われた。新型コロナウイルス感染拡大のため、2年間の中止を挟んで再開した昨年は縮小開催だったが、社会生活がほぼ正常化したことを受けて、4年ぶりに完全な形で実施された。

 幕末の安政年間に始まったといわれる行事。今年は4回披露され、最後の回は昨年行わなかった「引きずり餅」で締めくくった。引きずり餅は、隣の菅原神社まで大臼を引いてもらいながら南大塚餅つき踊り保存会のメンバーが餅をつく。大臼に付けた紅白の綱を引くのは地域の小学生で、今年は約30人が参加。保存会の小堤正栄会長(73)は「子どもたちに体験してもらえてうれしい」と喜ぶ。

 21人の会員が所属する保存会は、年々高齢化が進む。今年参加した17人のうち、最年少メンバーの今多駿嘉さん(21)は「自分も小学校6年生の時に体験して入りたくなった。興味を持った子どもに加わってもらい、伝統行事を継承できれば」と話した。

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