益子の陶芸家濱田さんが講演 塩谷町新庁舎開庁記念 31日まで親子三代特別展

講演する濱田友緒さん

 【塩谷】益子町在住の陶芸家濱田友緒(はまだともお)さん(57)の講演会「益子と濱田窯 地域の特性を生かし育てる」が8日、玉生の町役場で開催された。新庁舎開庁を記念する町の文化振興事業の一環。9日から31日まで、庁舎内の町民スペースで濱田窯親子三代特別展示会を開く。

 講演会は両町関係者の交流を通じて実現し、町内外の招待者ら約130人が参加。講演後、参加者は特別展示会場を見学した。

 友緒さんは益子に根差し民芸運動を推進した世界的な陶芸家で人間国宝の濱田庄司(しょうじ)(1894~1978年)の孫。祖父から父の故晋作(しんさく)さん、友緒さんへと継承される濱田窯の特徴や、約100年前の庄司の渡英を縁に続く英国と益子町の交流などを紹介した。

 友緒さんは幼少期、兄と共に庄司と絵付けの速さを競い勝たせてもらっていたエピソードを披露し「乗せられて陶芸家になった」と笑顔で語った。多摩美術大彫刻科で培った造形感覚や俯瞰(ふかん)する見方を作陶に生かしているという。

 地域の釉薬(ゆうやく)や土を用いる益子焼の特徴に重ねて、新庁舎に町産材を多く使った塩谷町の姿勢をたたえ、「庄司が最初に打ち出した益子らしさ、素朴さ、自由さをさらに生かして仕事をしていきたい」と締めくくった。

 特別展示会は町内のコレクター所有の庄司作品を中心に91点を展示する。

濱田窯親子三代特別展示会場を見学する講演会参加者

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