レッドブルF1のマルコ、2024年型モノコックのクラッシュテスト不合格を認める「もし合格なら、それが問題だ」

 レッドブルF1のアドバイザーであるヘルムート・マルコは、現在開発が行われている2024年型マシンのモノコックが、FIAによって義務付けられているクラッシュテストに不合格となったことを認めた。

 レッドブルF1のチームは、常にチーム内の情報を非常に厳重に保護しており、メディアの報道にはほとんど反応しないが、マルコはドイツのウェブサイトでこの件を認めた。

 クラッシュテストの不合格を前向きに受け止めようと、「もし最初のクラッシュテストに合格していたとしたら、まさにそれが問題になるところだった。その時は、マシン開発がうまくいっていないということになるだろう」とコメントを残し、すべての技術的課題に対するチームの積極的なアプローチがレッドブルの成功の理由のひとつであるということを示唆した。

 レッドブルでチーフテクニカルオフィサーを務めるエイドリアン・ニューウェイのつくるマシンは、これまでもしばしば最初のクラッシュテストに不合格となることがあった。ただ、今のF1にはコスト上限規制があるため、クラッシュテストでフロント構造を失った代償もタダではないと言える。ニューウェイがレッドブルでとってきたこのアグレッシブな開発アプローチは、今では過去よりも大きなコストを伴っている。

 クラッシュテストを通過するための、わずかな可能性に望みをかけてシャシーを送り出すことはないとすれば、今回のレッドブルの計算は楽観的であったと言えるだろう。剛性を要する部分にさらにカーボンファイバーを追加する余裕は残っているはずだが、必ずしもクラッシュテストに不合格となったことが、開発の良い兆候であるとは言い切れないはずだ。

 これまでのところ、フェラーリとアストンマーティンの両チームは、FIAが義務付けているクラッシュテストに合格していることが分かっている。両車はすでにシャシーナンバー1を使用して、ファクトリーで静的テストを行うことができる点を考えると、シーズンの準備という点ではレッドブルより先を行っている状況だ。

2023年F1第23戦アブダビGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

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