モンツァの大規模改修が4カ月遅れで着工。目標は「F1との契約を2030年まで延長すること」

 当初の着工予定から約4カ月が経った2024年1月8日、切望されていたモンツァ・サーキット(正式名称:アウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァ)の改修工事がスタートした。この月曜日には現地で、イタリアのマッテオ・サルビーニ副首相とイタリア自動車クラブのアンジェロ・スティッキ・ダミアーニ会長が出席した式典も行われている。

 改修工事のチームは、これより140日間かけて3つの作業分野に焦点を当てながら、この歴史的なサーキットを近代化させる。5月末までにまったく新しいアスファルトが敷かれるため、ここ数年に起きていたいくつかの問題が取り除かれ同時にトラックのグリップ特性は変化する。そのため、今季2024年のイタリアGPはドライバーやチームにとって新しいチャレンジになることだろう。予選前の3回のフリープラクティス・セッションでそれについてすべてを学ぶ必要があるためだ。

 しかし商業権保有者にとっては、他のふたつのメジャーアップグレードがもっとも重要となる。

 まず第一に、人々がパドックや一部のグランドスタンドに行くために使用している、トラックの内周に入ることができる既存の3つの地下トンネルの拡張、およびリニューアルだ。この工事はとくにレース後、重機のより迅速な循環を可能にする点で重要視される。もっとも、既存のトンネルは2台のクルマがすれ違うスペースがないため、それ以外の日も同様だ。

 これに加え今回の改修工事では4つめのアンダーパスが建設され、グランプリ期間中にサーキットを出入りする人々が直面する膨大なトラフィックの一部を解消することが期待される。

 最後に、2022年の主要契約問題の中心にあったパドッククラブエリアは完全に刷新され、F1の新しい基準に基づいて構築される。このことについてF1の最高経営責任者(CEO)であるステファノ・ドメニカリは明確に敬意を示した。

 リモートで起工式に出席したドメニカリは、「私たちにとって、これは重要な目標だ。昨年までのようにテントの下ではなく、適切な構造物でお客様を迎えることができなければならない」とコメント。

「これに加えて将来に必要な介入も明らかにある。モンツァには素晴らしい伝統があるが、私たちは前を向いて他の世界選手権トラックのレベルまでレーストラックを提案する必要があるんだ」

 作業が進行するなかスティッキ・ダミアーニ会長は、新しい目標が「F1との契約を2030年まで延長する」ことであることを認めた。しかしその前に、サーキットの運営を継続するためには新たな許可を得る必要がある。モンツァ・サーキットは保護された国立公園内にあり、地元当局との交渉は歴史的に見て比較的短期間で結論を出すことが困難だ。

マッテオ・サルビーニ副首相(右)とイタリア自動車クラブのアンジェロ・スティッキ・ダミアーニ会長(左)
今回の改修工事でモンツァ・サーキットの路面は全面張り替えとなる
改修工事が行なわれるモンツァ・サーキットで1月8日(月)に実施された起工式の様子

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