能登半島地震、避難生活送る女性支援のポイント 阪神・淡路経験の大学教員らがSNSで発信「我慢し過ぎず、命や健康を守る行動を」

避難生活を送る女性を支援するポイントを交流サイトで発信している兵庫医科大看護学部の田村康子教授(右)と西村明子教授(提供)

 石川県で最大震度7を観測した能登半島地震を受け、兵庫医科大学(西宮市)看護学部の教員有志が、妊婦をはじめ、避難生活を送る女性を支援するためのポイントを交流サイト(SNS)で発信している。阪神・淡路大震災の経験を基に「自治体による『公助』が行き渡るには時間がかかり、『自助』『共助』が続く。我慢し過ぎず、自分の命や健康を守るための行動を大切にしてほしい」と訴えている。

 有志は兵庫医科大看護学部で看護師、助産師の免許を持つ田村康子教授(54)ら教員6人。これまでもロシアの侵攻が続くウクライナや、トルコ・シリア大地震の被災地に避難生活の注意点を発信してきた。

 能登半島地震の発生後は、インスタグラムとフェイスブックに「避難生活における女性への支援のポイント」など4本を投稿した。授乳室や男女別の救護室、更衣室を設けるなどプライバシーの配慮▽照明や防犯ブザーの用意といった性暴力の予防▽生理用品など女性用物資の提供▽相談窓口の設置-を挙げる。

 妊婦や産後女性向けの注意では、腹部の痛みや頭痛、精神的不安などの起こりやすい症状と、医療者に相談する目安などの対策をまとめた。また生理用ナプキンやおむつがない場合、東日本大震災を経験した母親のグループが考案した対処法として、布などを活用した代替品の作り方を写真とともに紹介している。

 田村教授は、神戸大学医学部付属病院(神戸市中央区)勤務時代に阪神・淡路大震災で被災。自宅周辺で火災が広がったといい、「家屋の1階が押しつぶされ、炎に包まれる光景は(能登半島地震と阪神・淡路で)すごく似ている」と話す。

 物資や人的支援の不足を懸念した上で「非常時だからこそ、ある物を生かすことを伝えたい。体を温め、きちんと食べて休み、体を清潔に保って自分をいたわってもらいたい。特に妊婦の方は、ちょっとした体の変化を感じたら周りに伝えて」と呼びかけている。

 インスタグラムは「mam_and_midwife」で検索する。(井川朋宏)

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