【高校生の不登校】中学校までとは原因が違う!? 親が知っておきたい「子どもの正しい接し方」

さまざまな原因から学校に行けなくなってしまう「不登校」。

「小1プロブレム」「中1ギャップ」「高1クライシス」という言葉があるように、環境の変化が大きい進級のタイミングで新しい環境にうまくなじめないまま不登校になる子どもも多いそうです。特に「高1クライシス」では、小中とこれまで元気に学校に通えていた子が突然行けなくなってしまうケースもあるのだとか。

今回は、高校生の不登校の原因と、親としてすべき対応についてご紹介します。

高校生の不登校の原因は?

文部科学省の「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」では、不登校に関わる原因を「学校」「家庭」「本人」による3種類に分けて集計をとっています。

小学校、中学校、高校すべてで原因のトップは本人の「無気力・不安」によるもの。2番目も「生活リズムの乱れ・あそび・非行」と本人由来の理由となっています。

小学生では、3番目に多い原因が「親子の関わり方」なのに対して、中学校・高校では「いじめを除く友人関係をめぐる問題」となっています。

その後、小学生は「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「学業の不振」、中学生は「学業の不振」「親子の関わり方」と続きます。それに対して、高校生では「入学・転編入学・進級時の不適応」「学業の不振」と続きます。

つまり、高校生の不登校では、本人の問題を除いたら学校に関わる部分での原因が多くなっています。

小学校・中学校と地元の公立校に通っている場合、中学から高校にあがる際、人間関係が一気に変わります。それまでは徒歩か自転車通学だった子も、学区の広がりに伴って電車通学になることも多いでしょう。

また、受験をして自分のレベルに合った、もしくは少し背伸びした高校に入った場合、自分と同じくらいかそれ以上の学力レベルの子が周囲にたくさんいます。今まで成績がよかった子でも、なかなか成績上位にいけなくなり、そのことで自信を喪失してしまうケースも。

もちろん、理由はひとつではなく複雑に絡み合っていることがほとんどではあると思いますが、入学してから新しい人間関係の構築がうまくいかない、授業についていけないなどの理由から不登校になってしまうケースが小・中学生の不登校よりも多くなるようです。

高校生で不登校になったら、親はどういう対応をとるべきか

1:子どもの話をきちんと聞き、寄り添う

前述の通り不登校になる理由はさまざま。その理由によって対応も変わってきますが、まずは子どもの話をよく聞いて、否定せずに寄り添ってあげること。不登校の子どもは自分に自信をなくしていたり、疲労が蓄積して無気力になっていたりするため、「親は味方」ということ、「家は安心できる場所」ということを感じてもらうことが重要です。

不登校になるとずっと家にいるため、ダラダラして見えたりゲームやYouTubeなど好きなことだけやっているように見えるかもしれません。

そんなときに周囲と比較して「なんでみんなは学校に行けているのにあなたは行けないの」と責めたり、叱咤激励のつもりで「このくらいでへこたれていたらこの先やっていけないよ」などと否定するようなことを言うのはやめましょう。

2:学校は休んでもいいと伝える

不登校の子どもは、学校に行きたくない気持ちと、でも行かなければいけないという気持ちで板挟みになって悩んでしまうことも。子どもの味方として「学校には行かなくてもいいよ」と伝えることで、不安な気持ちを取り除いて楽にしてあげるといいでしょう。

原因を探ったり、次のステップに進むためには、まずは親が子どもの安全基地となり、何かあったときに相談しやすくなる関係性を作ることです。

学校を休み続けると出席日数が足りずに進級・卒業が難しくなるという点で、親としては不安も大きいとは思いますが、その後のことを考えるのはまず子どもと信頼関係を築いて話し合えるようになり、子どもが安心して心身を休められるようになってから。

在籍している高校への復帰が叶わない場合でも、転校や再入学ができる高校もありますし、ほかに学びの場を探すこともできます。

3:担任教師やスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーに連絡をとる

学校での人間関係や学業成績の低下などで高校生活がうまくいっていない場合は特に、担任の先生に連絡をして学校での様子を聞いてみてもいいかもしれません。家庭では見えなかった子どもの一面が見えたり、不登校のきっかけがわかったりする可能性もあります。

担任の先生にも状況を把握してもらったり、家での過ごし方、やるべきことを相談しておくといいでしょう。ほかにも、問題を抱える生徒の心のケアを担当するスクールカウンセラーや、学校や地域、医療機関との連携、調整を行うスクールソーシャルワーカーなど、親子の相談先は複数あるほうが安心です。一歩進むための、思わぬ糸口を見つけられるかもしれません。

ただし、担任教師が信用できなかったり、スクールカウンセラーが学校にいなかったりする場合もあります。そんなときは、不登校支援をしている団体を探して連絡してみるといいでしょう。

4:医療機関に相談する

高校生活での疲労で鬱病の症状が出ていたり、朝起きられない起立性調節障害であることが原因で不登校になるケースもあります。その場合は治療が必要になるので、医療機関を受診してください。

自覚がないこともあるため、何かおかしいなと思ったら信頼できる小児科、精神科や心療内科の先生に相談してみるといいでしょう。

5:転校させる

子どもの不登校が学校に起因する場合、学校を変えることで通えるようになる可能性も。

義務教育である小中学校と比べて高校の進級・卒業には欠席日数の上限などの条件があるので、長く休んでいると在籍していた高校に復帰することが難しくなる場合もあります。ですが、通信制や定時制など、登校頻度が比較的緩やかでマイペースに通える学校や、不登校の生徒の受け入れに前向きな学校もあるので、子どもに合いそう場所を探してみるのも手です。

6:学校以外の学びの場を探してみる

学校に行かないことでまず気になることとしては、勉強の遅れでしょう。子ども自身に勉強したい気持ちがあり、その気力が戻っている場合は、フリースクールや不登校に対応した塾、家庭教師など、高校に代わる学びの場を探す必要があります。

たとえ今子どもに頑張る気力がなくても、ゆっくり休んで先のことを考えられるようになったときに「やっぱり学びたい」と思い直すこともあるかもしれません。

選択肢のひとつとしてこういうものがあるよ、と提案できるように、通える範囲にどういった場があるのか調べておき、子どもが興味を持ったら一緒に行ってみるといいでしょう。

勉強は自宅でひとりでもできますが、学びの場には家族以外の人間と交流し、コミュニケーションをとれるというメリットがあります。

ひと口に不登校といっても、その原因は子どもによって本当にさまざま。安心できる場所でゆっくり心身を休ませてやりながら、元気や自信を取り戻して再び学校や社会に出ていけるように、親としてサポートしてあげられるといいですね。

(ハピママ*/ Mami Azuma)

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