八代亜紀さん死去、死因と発表された「急速進行性間質性肺炎」とは

 演歌歌手の八代亜紀さんが昨年12月30日に死去していたことが9日、分かった。八代さんの公式サイトで発表された。享年73歳。葬儀は所属事務所のスタッフのみで既に行なったという。後日お別れの会を企画している。

膠原病由来の急速進行性間質性肺炎が死因

 公式サイトによると、昨年8月に発表した通り、膠原(こうげん)病の一種で指定難病である抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎と急速進行性間質性肺炎を発症したため活動休止し療養していたが、容体が急変したという。

  間質性肺炎は、肺を支える組織である「間質」に炎症が起こった状態のことを指す。血中の酸素と二酸化炭素を交換する器官である「肺胞」を包み支える組織で、この部分に炎症が起きると、修復の過程で厚く、硬くなる。酸素を取り込む役目を持つ肺胞を包む組織が硬くなるので、進行していくと次第に酸素を取り込めなくなり呼吸困難になってゆく。初期は咳や運動時の呼吸困難にとどまるが、進行するにつれ安静時にも息が切れるようになる。また、慢性化するともう一つの症状として、手の爪の根元が膨らんで太鼓のばちのような形になる「ばち指」という状態になることがある。悪寒、せき、息切れ、発熱などの症状があり、悪化すると全身性疾患となって死亡する場合もある。

 原因は「喫煙」「薬剤」「放射線」「アレルギー」「膠原病」などさまざまで、原因が分からないこともある。もともと難治性だが、原因不明の場合は「特発性間質性肺炎」と呼ばれ国の難病指定を受けている。治療は原因によって大きく変わってくるので、心配な場合は確定診断をしっかりと受けるようにすること、場合によってはセカンドオピニオンを受けることも視野に入れる必要がある。

 留意したいのは、肺の器官が炎症を起こすという意味で「間質性肺炎」という疾患名がついているが、いわゆる肺炎とはまるで違う疾患であることだ。間質の炎症は不可逆的な組織破壊を引き起こすことが多く(医学的には繊維化という)、症状の軽重はあれど、一度かかれば元に戻ることはほぼ望めず、一生付き合うことになると考えた方が適切だ。八代亜紀さんの場合は膠原病由来なので当てはまらないが、喫煙が原因になることもあるので、間質性肺炎が心配な喫煙者は禁煙することをおすすめしたい。

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