「何としても助けると思い活動」 被災地で安否確認 山本警部に聞く

被災家屋に取り残された人がいないか安否確認作業に当たる援助隊員=6日、石川県珠洲市(岡山県警提供)

 能登半島地震を受け、被害が大きい石川県珠洲市に派遣されていた岡山県警の広域緊急援助隊約30人が8日帰岡した。余震が続く中、倒壊家屋などを回っての安否確認活動は危険を伴い、雨や雪にも見舞われて過酷を極めたという。中隊長を務めた県警機動隊の山本豊一警部(45)に活動の様子を聞いた。

 援助隊は4日朝に車両約10台で岡山を出発し、同日午後に金沢市に到着。翌日未明に活動場所の珠洲市に向かう道中、家々が倒れたり、道路が崩れたりした現状を目の当たりにし「自然災害の脅威を思い知らされた」と話す。

 現地入り後は、割り当てられたエリアで住民の安否確認を中心に活動。3日間で200戸近くを回り、取り残された人がいないか呼びかけたり、地元住民に聞き取りしたりした。発生から約124時間が経過した6日夜には、倒壊家屋から90代女性が救出された現場で、救助班の後方支援を展開。「その場にいた全員が『何としても助ける』との思いで動いていた」と振り返る。

 余震が続き、部隊が二次被害に遭わないよう細心の注意を払った。つかの間の休憩中に緊急地震速報が鳴ることもあり「気が休まらなかった」ものの、大変なはずの被災者からの感謝の言葉が隊員の疲れた体を奮い立たせたという。

 岡山県でも近い将来、南海トラフ巨大地震の被害が懸念されている。県民には「有事の際に自分がどう動くか、家族で事前に話し合ってもらい、非常食などできる準備はしておいてほしい」と呼びかける。そして「雨や雪など今回の現場で経験した環境下でも力を出せるような訓練を重ねたい」と使命感を新たにした。

現地の状況を語る山本警部

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