Media Day2日目に見るAIの実装と実用化を体感 [CES2024]Vol.02

Media Day2日目

CESでは、一般公開を控えた会期前日2日間はメディア向けやカンファレンスが朝から晩まで開催される。今年は参加者も多く、どのカンファレンスも開始前には長蛇の列ができていたのが印象的だ。今年のCES2024の会場(展示会場はまだ入れないが…)を見渡すとAIが目につく。今回は、Media Day2日目、1月8日に行われたいくつかのカンファレンスやプレス発表を紹介していこう。

AIが会場を埋め尽くす?

左よりLeslie Shannon(Nokia)、Steve Canepa(IBM)、Richard Kerris(NVIDIA )

毎回広告業界などが展示を行うC-SPACEにて、朝イチで行われた注目のカンファレンスタイトルが、「The AI Inflection Point – Entertainment, Internet & Media」だ。今回のCES2024の会場では、「AI」の言葉が目につくパワーワードだ。

業界トレンドスカウターのレズリー・シャノンがモデレーターとなりIBMからスティーブ・カンパ、NVIDIAからリチャード・ケリスが登壇した。何かと今話題の生成AIだが、社会に浸透していくにつれてデータの信用性や著作権の扱いも非常に重要になっていると語った。

例えば、音楽もシンセサイザーが出現し、その後サンプリング手法が隆盛を極める音楽制作の民主化が起こった。しかしその際にサンプリングの著作権問題が生じたように、生成AIによる創作物にも著作権をどのように考えるのか?議論されている。

また企業がAIによるデータを活用するには、そのデータが信頼できるのかその真偽を判断する必要がある。登壇したIBMのスティーブは、以下のように語った。

IBMでは、小規模な企業から大企業まで安心して利用できるモデルを使用している。画像生成AIの中にはモデルデータとしてふさわしくないデータも数多く含まれているので注意が必要だ。

Samsungが謳う「AI for ALL」とは?

開始前のスクリーンには大きく「AI for ALL」の文字が掲げられていた。そして文字通り発表は、AIに寄った内容で、今後あらゆるものにAIが浸透していくと語られた。

マルチデバイス向けセキュリティのSAMSUNG KNOXでは、テレビから冷蔵庫、ハードウェアレベルでは暗証番号まで守れるようになるという。またサスティナビリティー、インクルーシブという領域では、テスラや電力会社のSouthern Companyとコラボレーションしたり、リサイクル・リユース事業をアフリカでも推進している。

新しいモニター向けチップも”AI”搭載と謳っていたのには少々おかしい気もしたが、その後発表されたボール型AIコンパニオン”Ballie”がスクリーンに登場すると大きな歓声が沸いた。

初号機Ballieが発表されたのは2020年。IoT(Internet of Things)の象徴的なポジションだったが、2024年には、AIロボットとしてアップデートされたようだ。機能的にはAmazonのAlexaが球形になって動き回っているようにしか筆者には映らない。

しかしながら愛くるしいAIコンパニオンロボットを求めているユーザーも少なくはない。その他、AIの浸透によってより一層パーソナライズされた経験をもたらすだろうと語っていた。

AIそして水素という未来燃料を扱うHyundai

30分前に会場入りしたにも関わらず、会場は超満員。この時点で空いている席は全てReservedと張り紙が置かれて関係者席向けであった。つまり満員御礼である。昨年はそうでなかったと記憶している。

プレゼンテーションでは今年のテーマ「ease every way」を元に、その中でもキーワードとしてHydrogen + Human = HTWO(エイチ・ツー)が掲げられ、水素を活用した事業展開が多くの時間を割いて説明された。 その中でもアメリカ・ジョージア州で巨大な水素を動力とした工場を建設しており、Hyundaiの本気度を伺わせていた。

水素エンジンを実用化するDoosan

水素ドローンなどを開発しているだけあって、Doosanも今回は「水素」推しだ。Doosanは、韓国の重工業を中心とした財閥グループだ。中でもHydrogen Turbine(水素タービン)を開発したことを大々的に発表していた。この水素タービンで400メガワットの電力を発電できるという。

またSMRと呼ばれる小型原子炉も材料からすべて自社製造しているとのことで、今後安全でクリーンな電力需要にこれらの技術で応えていく姿勢が伺えた。また”Cobot"(コボット)と呼ばれる人間とのコラボレーションを前提に開発されたロボットアームが紹介され、ソフトウェアとの組み合わせで様々な作業を効率化できると謳っていた。

後半は、農機具やブルドーザーなど製造しているDoosan傘下のBobcat製EVブルドーザーが登場。水素推しではない!とつっこみたくなる気持ちを抑えつつ、自動運転ができる車体に歓声が沸いていた。

そして技術は標準化される

AIや水素についてもここ数年で生まれた技術ではない。長らく紹介されている分野だ。2024現在いよいよ実装され実用化を迎えるという意味で華開いていたと言える。

そんな技術が開花する場に立ち会えるのが、CESの醍醐味とも言える。そして日本企業であるソニーついては、次のVolで紹介したい。ざっと駆け足で気になるAIに紐づく紹介したが、明日からはいよいよ展示会場も公開され、さまざまな新製品や新サービスがお披露目となるので、引き続きレポートを会場からお届けする予定だ。

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