規則変更のない2024年は「利点が減る」とレッドブルF1代表。ライバルがRB19に似たマシンを投入すると予想

 レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、ライバルたちが2023年シーズンを支配したレッドブルから着想を得るだろうと確信しており、複数のチームがチャンピオンシップを制覇したRB19に非常によく似た2024年型マシンを発表するだろうと予想している。

 レッドブルの2023年シーズンは22戦中21勝という驚異的な勝率とともに、昨年11月にアブダビで締めくくられた。マックス・フェルスタッペンは19勝を挙げ、3度目のF1世界タイトルを獲得した。

2023年F1第18戦カタールGPスプリント マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が3度目のタイトルを獲得

 競争の激しいF1では、各チームがパフォーマンス差を縮めるために必然的に成功したモデルを分析して再現するようになる。RB19はF1史上最も成功したマシンだが、そのデザインは重要な面で間違いなく優れていることが証明された。つまり、ライバルチームはパフォーマンスを向上させるために同様の特性を取り入れる可能性が高いということだ。実際に、レッドブルのダウンウォッシュ型サイドポッドは、すでに昨シーズンの夏の間に広く普及した。

 模倣は最大の賛辞であるが、ホーナーはF1の現在のレギュレーションはレッドブルにとって「利点が減る」段階に近づいており、チームが開発を通じて大きなアドバンテージを得ることがますます難しくなるはずだと述べている。

「チームにとって非常に特別な時期であり、この勢いを来年に持ち越せるよう願っている」とホーナーがメディアに語ったと『Speedcafe』は報じた。

「だがレギュレーションが安定していることから、我々にとっての利点は減ると十分に予想している。我々は他チームよりも早くカーブの頂点に達したと考えているからだ」

「フィールドの差は縮まっていくだろうし、どこが追いついてくるのか我々が知るのは難しいことだ。それはマクラーレンになるだろうか? フェラーリだろうか? メルセデスだろうか? 状況は我々の背後で動き続けている」

「だがそれは来年に向けて我々が十分予想していることだ」

 2023年の圧倒的パフォーマンスによって、レッドブルは2024年の開発プログラムのスタートを有利に切ることができた。その恐ろしい事実はライバルたちに伝わっているが、それでもホーナーは、開発面で「利点が減る」という理由をふたたび挙げて、レッドブルが再び圧倒的なシーズンを過ごす可能性を除外している。

「翌年になると常にリセットされるものだ。来年には、おそらくRB19の哲学のようなマシンがもっと多く見られると確信している。彼らがそうすることは避けられない」

「このビジネスでは、立ち止まると後退する傾向がある。我々は他のチームよりも早くカーブに近づいたと考えているので、前にも言ったように、我々は利点が減る法則に陥っている」

2023年F1第20戦メキシコシティGP セルジオ・ペレス(レッドブル)

 2023年のレッドブルの優位性には代償が伴った。現在チームは、風洞と計算流体力学(CFD)の使用について多数の制限に直面している。それはF1のスライド制空力テストレギュレーションが適用されているからだ。こうした制約によってレッドブルはさらにマシン開発を行うことが難しくなり、そのために2024年にはチームとライバルたちとの差が縮まる可能性が高い。当然ながら2024年のレッドブルのマシンは、その前身と比較すると革命というよりはむしろ進化となるだろう。

「もちろん風洞使用時間は不足している。我々は早い段階で移行したが、それでも他の多くのライバルよりも実際に時間は少なかった」とホーナーは述べた。

「だから大きく節約しなければならず、RB19の強みを土台としたRB20のどこに時間を使うか選択しなければならなかった」

「マシンはすべての分野が再検討された。現状に満足するわけにはいかないので、マシンはあるテーマを非常に大きく進化させたものになっている。一から作り直しているのではない」

「それこそが、この12カ月の間のエンジニアリングの道のりだった」

クリスチャン・ホーナー代表(レッドブル)

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