亡くなった認知症の老女を、自身の認知症の母親とすり替える介護士 「ビニールハウス」公開決定

第27回釜山国際映画祭で3冠を獲得したキム・ソヒョン主演のサスペンス「ビニールハウス」が、2024年3月15日より劇場公開されることが決まった。

「ビニールハウス」は、貧困、孤独、介護といった現代の社会問題に根ざしたサスペンス映画。ビニールハウスに暮らすムンジョンの夢は、少年院にいる息子と再び一緒に暮らすこと。引っ越し資金を稼ぐために、盲目の老人テガンとその妻で重い認知症を患うファオクの、訪問介護士として働いている。そんなある日、風呂場で突然暴れ出したファオクが、ムンジョンとのもみ合いの最中に転倒。床に後頭部を打ちつけて息絶えてしまう。息子との未来を守るため、認知症の自分の母親を連れて来たムンジョンは、ファオクの身代わりに据える。この決断は、さらなる悲劇を招き寄せることになる。

主人公のムンジョンを演じるのはキム・ソヒョン。ドラマ「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」「Mine」などで活躍する俳優で、本作の出演にあたっては「綱渡りのような危うい人生を生きる彼女こそ、まさに私自身ではないかと感じ、最初に台本を読んだときには涙を流しました」と語っている。その演技は、韓国のアカデミー賞と称される第59回大鐘賞映画祭を始め、第43回韓国映画評論家協会賞、第32回釜日映画賞、第43回黄金撮影賞などで、主演女優賞ほか6冠を成し遂げた。

監督・脚本・編集を手掛けたのは、ポン・ジュノ監督らを輩出した名門映画学校である韓国映画アカデミーで学んだ、若干29歳のイ・ソルヒ。監督自身の認知症の祖母と、祖母をケアする母親の関係性から着想を得てオリジナル脚本を執筆し、貧困や孤独、高齢者をめぐる介護や認知症といった社会問題に切り込みながら、ムンジョンの想像を絶する運命をスリリングに描出した。完成した作品は、第27回釜山国際映画祭で3冠を獲得し、第59回大鐘賞映画祭・第44回青龍映画賞の新人監督賞にノミネートされた。

【作品情報】
ビニールハウス
2024年3月15日(金)よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
配給:ミモザフィルムズ
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