トイレカーで被災者支援 南あわじ市、能登半島地震で職員も派遣 ソーラーパネル装備、昇降機で車いすもOK

能登半島地震の被災地、石川県珠洲市に向けて出発する自走式水洗トイレカー=南あわじ市役所

 能登半島地震の被災者を支援するため、兵庫県南あわじ市は、所有する自走式水洗トイレカーと、危機管理課の職員3人を石川県珠洲市に派遣した。トイレカーを持つ自治体はまだ少なく、南あわじ市が被災地に派遣するのは初めて。

 珠洲市は建物倒壊や土砂崩れの被害を受け、多くの人が避難所に身を寄せている。避難所のトイレ事情は被災者の生活に直結する。衛生環境や体調を左右しかねないことから、南あわじ市は今回の派遣を決めた。

 トイレカーは、被災時の衛生環境維持などを目的に2020年に導入された。トラックタイプで、荷台部分がトイレになっている。

 男性用と女性用、多機能トイレなど大小合わせて七つの便器を備え、おむつ交換台も完備。満タン700リットルの水で、約千回使うことができる。ソーラーパネルが付いており、車の燃料が切れても照明を点灯したり水を流したりすることが可能。垂直昇降機があり、車いすの人も使える。

 同市はほかに、トイレカーで使うトイレットペーパーや生理用品、ポータブルトイレなどを現地に持参。職員は主にトイレカー利用者の誘導を担う予定だが、もう1台、災害用の車に分乗して現地入りするため、避難所への物資の搬送支援も検討する。

 トイレカーにたまった排泄物はバキュームカーで処理する予定だが、道路事情などの影響で難しい場合、職員が金沢市内のし尿処理場まで運ぶ。流すための水は、現地のため池や川からポンプでくみ上げる。

 第1陣は7日に出発し、14日まで被災地に滞在予定だが、その後も当面、ほかの職員が入れ替わりで現地に入る。トイレカーは被災地に継続して置いたままにする。同市危機管理課の阿部志郎課長(52)は「被災者の方に少しでも安心してもらえるよう力を注ぎたい」と力を込めた。(西竹唯太朗)

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