全日本優勝目指し精進 ラジコンドリフト 高校生プロ・金谷さん 茨城・鉾田 母校、企業の応援で成長

ラジコンカーのドリフト競技のプロとして活躍する金谷幸晟さん=鉾田市舟木

ラジコンカー(RCカー)ドリフト競技(ラジドリ)の高校生プロドライバー、茨城県鉾田市舟木の金谷幸晟さん(16)=水戸啓明高1年=の活躍が止まらない。2023年は11月に開催された国内最大の全日本選手権で3位に入り、初の表彰台に立った。国際大会で優勝も経験するなど大舞台で結果を残した。金谷さんは「できることは全て出し切れた」と充実した一年を振り返り、さらに上を目指すため「足りない部分を埋められるよう精進したい」と抱負を語った。

RCカーを自在に操り、ドリフト走行の見栄えや正確さを競う通称「ラジドリ」。金谷さんは11歳でRCカーの大手「ヨコモ」の専属ドライバーになり、各大会に出場するほか、商品開発にも携わっている。

自己最高となる3位に入った全日本は最も重視している大会。全国のトップ選手約150人が一堂に会し、決勝に残れるのは4人のみ。少しのミスも許されない緊張感の中、4人総当たりの戦いで、前回王者を破る躍進を見せた。

決勝進出は、小学6年だった19年以来4年ぶり。前回の決勝は初戦でマシントラブルに見舞われ、1勝もできず4位に終わり「不完全燃焼」の思いだけが残っていた。今回の決勝は、これまでに培った技術や整備力、経験を存分に発揮して自己記録を更新。「止まっていた時間が進み出した」と手応えを口にした。

金谷さんが腕を磨くのは、両親が2年前に自宅に開業した専用施設。高校に進学し、練習時間が以前より少なくなったが、「質の向上」を心がけて練習に励んだ。休日には実車を走らせるサーキット場にも足を運び、サーキット用のライセンスを取得し、自らドリフト用の車を運転。ドリフトの理屈を体で覚えた。

昨年5月には、マレーシアのジョホールバルで開催された国際大会に日本人として唯一参戦。予選から決勝まで全て1位を獲得する圧倒的な走りを見せ、チャンピオンに輝いた。完全アウェーの中でも、自分の走りを貫ける精神的な強さも身に付けた。メカニックなどで活動を支える父の幸光さん(53)も「成長を結果で示してくれている」と目を細める。

金谷さんは大会に臨む際、スポンサーのロゴを付けたTシャツやパーカを着用。ロゴはラジコン関連のメーカーのほか、通っている高校や地元企業の名も並ぶ。多くの支援や応援を実感しながら成長を続ける〝高校生プロ〟は「全日本はもちろん、いろんな大会で優勝する」と一層の飛躍を誓った。

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