【連載コラム】第46回:FA市場はようやく折り返し トップ50のうち26人の今季所属チームが決定

写真:カブスとの契約が報じられた今永昇太 ©Getty Images

日本時間1月10日、ポスティング制度を利用してMLB移籍を目指していた今永昇太がカブスとの契約合意に至ったことが明らかになりました。現時点では契約条件の詳細は不明ですが、保証額は2年3000万ドル前後であることが報じられています。先発2~3番手としてローテの一角を担うことが期待されており、打線の中軸を担う鈴木誠也とともにチームを牽引し、ポストシーズン進出を目指します。

今永のカブス移籍が決まったことにより、移籍市場に残る日本人選手は上沢直之と藤浪晋太郎の2人だけになりました。上沢はポスティング制度によるMLB移籍を目指しており、MLB各球団との交渉期限は日本時間1月12日午前7時。あまり時間は残されておらず、動向が気になるところです。一方、藤浪は純粋なフリーエージェント(FA)のため、交渉期限はありません。補強の優先順位的にリリーフ投手が後回しになるのは仕方ない部分もありますが、新天地でアピールの機会を増やすためにも、スプリング・トレーニング開始までに契約を決め、スプリング・トレーニング初日から参加できるのが理想だと思います。

さて、今永は移籍情報サイト「MLBトレード・ルーマーズ」が昨年11月上旬に発表した「FA選手トップ50」で10位にランクインしていました。1位の大谷翔平、3位の山本由伸、25位の前田健太、43位の松井裕樹など、トップ50に名を連ねた選手の移籍先が徐々に決まっており、今永で26人目。スローペースな印象も受ける今オフのFA市場ですが、「トップ50の契約状況」という点では、ようやく折り返し地点を迎えたことになります。トップ10に名を連ねた大物選手では、1位の大谷、3位の山本、5位のアーロン・ノラ、9位のソニー・グレイ、10位の今永の契約が決まりました。

一方、2位のコディ・ベリンジャーを筆頭に、ブレイク・スネル(4位)、ジョーダン・モンゴメリー(6位)、マット・チャップマン(7位)、ジョシュ・ヘイダー(8位)など、多くの有力選手がまだFA市場に残っています。2億ドル以上の大型契約を狙うベリンジャーとスネル、昨オフのカルロス・ロドン(6年1億6200万ドル)を超える契約を目指すモンゴメリー、リリーフ投手史上最高額を望んでいるヘイダーといったように、各球団が考える適正価格以上の条件を希望しているとみられる選手もチラホラ。スプリング・トレーニング開始が近付くにつれて妥協を強いられる選手も出てくるでしょう。

ほかには、ホルヘ・ソレア(16位)やJ・D・マルティネス(20位)などのスラッガー、ジョーダン・ヒックス(21位)やロバート・スティーブンソン(27位)などのリリーフ投手、アロルディス・チャップマン(33位)やジャスティン・ターナー(41位)のような実績十分のベテラン、そして実力派右腕のマーカス・ストローマン(18位)もFA市場に残ったままとなっています。日本球界でプレーしたジャリエル・ロドリゲス(28位)の行方も気になるところです。

キャンプインの2月1日までに全球団の陣容がほぼ固まる日本のプロ野球とは異なり、MLBの移籍市場はスプリング・トレーニングに入ってからも動き続けます。FA市場の動きが一段落すれば、今度はディラン・シース(ホワイトソックス)、シェーン・ビーバー(ガーディアンズ)、コービン・バーンズ(ブリュワーズ)などトレード市場が動き始めるかもしれません。日本人選手は上沢と藤浪の2人だけになりましたが、まだまだ移籍市場の動きから目が離せない日々が続きそうです。

文=MLB.jp 編集長 村田洋輔

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