能登半島地震による避難所生活の長期化で疲労が蓄積する中、ミカンをストーブで焼く「焼きミカン」が住民の好評を得ている。避難先となっている能登町宮地の交流宿泊所「こぶし」では、住民が自宅から持ち寄った小ぶりのミカンを火であぶり、熱々を頰張るのが恒例に。「風邪予防によさそう」「懐かしの味や」などとお代わりを求める声も相次いでいる。
鮭尾区長の竹本勝栄さん(82)を中心に避難者がストーブの前に座り、適度に焦げ目が付いた食べ頃を見極めながらトングでとりわけると、「おいしい」の声が広がった。
竹本さんらによると、能登には小ぶりの甘酸っぱいミカンが多く植えられており、子どもの頃にはいろりで焼いて食べた。焼くとシロップ漬けのような風味とともに甘く感じるようになるそうで、「食べると風邪をひかない」との言い伝えもあるという。