水面に現れた巨体に歓声 奄美大島=ホエールウオッチングに園児招待

奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)は1月8日、鹿児島県奄美市名瀬の園児らを招待してホエールウオッチング体験ツアーを開いた。名瀬信愛幼稚園の園児と保護者ら42人が参加し、同市名瀬の沖合でザトウクジラを観察。船のすぐそばで水しぶきを上げて浮上、潜水する場面もあり、参加者は迫力満点の〝クジラショー〟に大歓声を上げた。

水面に浮上したザトウクジラに歓声を上げる園児ら=1月8日、奄美大島沖

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住民向けの無料体験ツアーは地域貢献活動の一環。奄美近海に来遊し繁殖するクジラを身近に感じてもらおうと、観光客向けのホエールウオッチングツアーの開始時期に合わせて実施している。

ザトウクジラは成体の体長約12~15メートル、体重約30トン。冬季にロシア周辺海域から奄美近海に来遊し、繁殖や子育てのため数十日間滞在する。出現数のピークは例年2月中旬。今シーズンの来遊は昨年11月24日に初めて確認され、1月8日までに計52頭を観察した。

8日のツアーは、午前9時に奄美市名瀬の小湊漁港を出港。3時間ほどクジラを探したが見つからず、港に戻る途中に小湊沖でようやくクジラのブロウ(潮吹き)を発見した。少々疲れ気味だった園児たちも元気を取り戻し、海面に大きなクジラの背中が現れると歓声を上げ喜んでいた。

参加した園児は「初めて見たクジラはすごかった」と感想。園児の母親も「ザトウクジラが奄美の海で子育てをするのは知っていたが、実際に目の前にすると感動的だった。きょうは天候も良かったのでいいタイミングで見ることができた」と話していた。

観察シーズンを迎え、観光客にも好評のホエールウオッチング=1月8日、奄美大島沖

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同協会によると、昨シーズン(2022年12月~23年4月ごろ)の奄美大島周辺海域でのザトウクジラ出現頭数は1699頭。興会長は「今シーズンも出産直後と思われる親子を確認しており、昨年奄美近海で生まれた1歳クジラたちも6頭ほど見られた。個体数の回復を感じられ、今後が楽しみ」と語った。

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