ハプスブルク、アルピーヌA424の速さに驚いた初テストを語る。ハイパーカーBoPへの期待も

 アルピーヌの新ドライバー、フェルディナンド・ハプスブルクは、2024年にWEC世界耐久選手権デビューを果たす新型プロトタイプマシン『アルピーヌA424』を初めてドライブした際、その速さに「驚いた」と語った。

 シグナテックが運営するアルピーヌ・エンデュランス・チームが11月にスペインのアラゴンで耐久テストを終えた直後、ハプスブルクは今シーズンWECのトップクラスに復帰するアルピーヌが擁する6名のドライバーのひとりであることが明らかにされた。

 オーストリア出身の彼は、チームWRTに所属しWEC・LMP2クラスで3シーズンを戦った後、ハイパーカーカテゴリーにステップアップする準備として、30時間のテストでオレカベースの新型LMDhマシンを初めてテストした。

 ハプスブルグはそのときのことを振り返り、ここ数シーズンで使用してきたオレカ07・ギブソンとA424の類似点を指摘しつつ、後者の純粋な直線スピードのステップアップに最初は驚いたと認めた。

「次のステップに進む準備は常にできていると感じてるが、これは初めての機会だった」とSportscar365に語ったハプスブルク。

「初めてこのクルマに乗ったとき、ストレートでの速さに衝撃を受けた。アラゴンの最初のラップでピットを出たとき、あまりの速さにステアリングを見たら、342km/hと表示されていたんだ。『血みどろの速さだ』って思ったよ」

「全体的なフィーリングはLMP2マシンと似た感じで、少し重いけどダウンフォースが強いのが印象的だった。これは本物の戦闘車両であり、それに乗り込む方法は僕にとって非常に自然なことだ」

「オレカの人たちはシャシーの作り方を熟知しており、期待を裏切らなかった」

「チームも非常によくまとまっているように見えたし、事前に知り合いはいなかったが、すぐにシステムがどのように機能するのか分かったような気がした。チームに感銘を受けたよ」

■LMDhとLMHのパフォーマンスがより近づくことに期待

 アルピーヌはハプスブルクの他に、ミック・シューマッハー、ポール・ループ・シャタン、ニコラ・ラピエール、マシュー・バキシビエール、シャルル・ミレッシと契約を交わしているが、現在のところ2024年のハイパーカー・キャンペーンに向けてドライバーの組み合わせをどうするかは明らかにしていない。

 ハプスブルグはアルピーヌの競争力を予測することはまだ「不可能」だとしながらも、LMDh規定のマシンが2023年よりも頻繁にLMH(ル・マン・ハイパーカー)規定のライバルたちと勝利を争えるようになることを期待していると述べた。

 彼はAVLレーステックがWECのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)プロセスに参加していることを、ふたつの異なるプラットフォーム間の競争がより緊密になることを期待する理由として挙げた。

「僕たちはマシン(の挙動)を予測しやすくし信頼性を高め、タイヤのダブルスティントを最大化すると同時に、タイヤを(素早く)暖めることができるようにすることに焦点を当てている」とハプスブルク。

「それから我々はBoPとも戦う必要がある。それを最大限に活用することに関しては、いくつかのチームが他のチームよりも優れているのは周知の事実だ」

「しかし、WECはAVLをアドバイザーとして迎え入れた。僕は彼らと長い間パートナーシップを結んでいたので彼らのことをよく知っているし、彼らの才能も知っている。彼らがDTMドイツ・ツーリングカー選手権のBoPを担当し、それがどれだけ近いものであるかを見てきた」

「AVLがハイパーカーとLMDhに慣れてくれば、同じようにバランスの取れたものになるだろう。そう願っている」

2024年のWECハイパーカークラスに投入される新型LMDhマシン『アルピーヌA424』
アルピーヌからWECハイパーカークラスにデビューするフェルディナンド・ハプスブルク

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