ネットでは“観光支援”の呼び声も…石川県が被害少ないエリアに「積極的に来て」と言えないワケ

元日に発生した巨大地震によって、大きな被害を受けた能登半島。石川県内では現在、2万6000人以上の被災者が避難生活を余儀なくされている。

「能登北部に位置する珠洲市や輪島市では、地震だけでなく津波の被害も甚大です。石川県が10日夕に発表した被害報告によれば、両市を含む孤立・要支援集落は22地区。そこでは、3000人以上の被災者が生活しているといいます」(全国紙記者)

いっぽう同じ石川県内でも、金沢市などがある南部の加賀地方は被害が少なかった。だが一部SNSでは「ゴーストタウンのよう」と、閑散した市街の様子を報告する声が。

なかには通常営業を行っている旅館やホテルもあるようで、《観光でお金を落としても良いんじゃないですかね》《宿泊して経済を回してきて欲しい》と提案する声も。実際に足を運ぼうとする人もおり、《経済回すために金沢行って観光します》といった声も散見された。

金沢と東京を結ぶ北陸新幹線は、震災発生からわずか1日で全線の運転を再開した。10日現在も運行しており、行こうと思えば行けるだろう。とはいえ石川県では、能登方面への不要不急の移動は自粛するよう呼びかけている。

果たして今のタイミングで、被害が少ないエリアに観光支援などの目的で訪れるのは適切だろうか?

そこで本誌は1月9日に、石川県の観光戦略推進部観光企画課に取材を申し込んだ。すると担当者は、現在の状況をこう語ってくれた(以下、カッコ内は担当者)。

「確かに能登への訪問は、いま現在、自粛要請をしております。それは支援物資などを運ぶ中で、個人の方がたくさん訪れると支援物資が届かないということもあるからです。ただいっぽうで(被害の少なかった)金沢市や加賀市には避難者が身を寄せており、今後も続々と避難者を受け入れる状況になってくると思われます」(担当者)

その上で、一部SNSで上がっている「被害が少ないエリアに赴いて観光で経済支援をしよう」との声には、次のように語った。

「我々としては、被災者の支援に注力を置いているなかで、現状はまだ観光誘客をする状況にはございません。これから避難施設もできてきます。支援活動をしていかないといけない中で、積極的に来てくださいとは言えません。まずは被災されている方の支援が最優先です」(担当者)

救助活動や復興支援の妨げにならぬよう、“今はすべきではないこと”も冷静に判断する必要がある。

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