地元出身・高橋選手…野球人生をかけたトライアウト 新球団ハヤテ223で「勝負の1年」 開幕に向け準備進む…経済界からは期待の声 静岡市

静岡西高出身・ハヤテ223高橋駿選手

ハヤテ223 高橋駿選手:「僕自身、新しい挑戦が始まるので、頑張るので見守ってください」

2024年、元日。新しい年は勝負の1年になります。静岡市に誕生した、プロ野球の新球団ハヤテ223の高橋駿選手。初詣を終えると、球団1年目のシーズンを地元・静岡市でスタートさせました。

ハヤテ223 高橋駿選手:「例年1月1日は休んでいる時期が多かったですけど、早速練習できて、いいスタートが切れたと思います」

去年9月、プロ野球2軍リーグへの新規参入が決まった「ハヤテ223」。プロ野球に新たな球団が参入するのは、実に66年ぶりです。ゼネラルマネージャーに元横浜の山下大輔さん、監督には、元近鉄の赤堀元之さんが就任。2人とも静岡県出身です。

ハヤテ223 山下大輔GM:「この新球団を強くすることは生易しいものではない。静岡県の野球ファンの皆さんに認められるような野球ができるように頑張っていきたい」

「不合格だったら引退する予定でした」

参入1年目を戦う顔ぶれは現時点で、去年11月のトライアウトで選ばれた選手に、昨シーズンまでロッテでプレーした福田秀平選手ら元NPB組を加えた29人。そのうち、静岡県出身の選手は7人。その中のひとりが元日から始動した、高橋選手です。静岡西高校から岐阜聖徳学園大学に進学し、バッティングを武器とする内野手として、卒業後は社会人リーグや独立リーグなどでプレー。野球人生をかけて、ハヤテ223のトライアウトに挑みました。

ハヤテ223 高橋駿選手:「自分自身の年齢が26歳ということもあって、なかなか上に行くチャンスが無くなってきているのが事実。ハヤテのトライアウトが不合格だった場合は、野球を引退する予定でした」

背水の陣で、つかみ取ったチャンス。球団にとっても、高橋選手にとっても、勝負の1年です。

ハヤテ223 高橋駿選手:「もう1年、野球ができることに感謝して1試合1試合大切に勝負だと思って過ごしていきたい」

県外選手の寮になるホテルでは

参入1年目を迎え、本拠地となる地元にあわただしい場所が…。こちらは主に県外の選手向けの寮になる、清水区三保のホテルです。

ビーチホテルゴーシーズ 合志倫明代表取締役:「すべてのお布団をもう一度、布団乾燥機で乾燥して、快適なお布団を(選手が)来ていただくまでに作り上げておく」

Q.選手が宿泊されるのはいつ頃からですか

A.「8日から最初の選手が到着します。スタッフ総出で準備していますので」

まずは始動から2カ月間、最大30人ほどが利用できるように準備が進められています。

ビーチホテルゴーシーズ 合志倫明代表取締役:「ゼロから新しいものができていく、前向きな感じがすごく大好きなので、少しでもお力になれたらと引き受けました」

選手たちを支えるのは、ホテルのスタッフだけではありません。

Q.皆さんはどんな担当で

ヒバリヤ 佐野隆さん:「今回、選手の食事を担当するヒバリヤグループです」

清水区に本社を置く、スーパー「ヒバリヤ」。自社で仕入れた食材を飲食部門のスタッフがホテルで調理して提供します。

ヒバリヤ 佐野隆さん:「地元の企業として、地元に新たにできるスポーツチームを応援したい。練習後の選手の体調・健康・パワー・スタミナを補っていただけるような料理を提供したい」

スタジアム名は愛称「ちゅ~るスタジアム清水」か

さらに、新球団をめぐって新たな展開も。ハヤテ223の本拠地となる清水庵原球場のネーミングライツの募集に対して、清水区のいなば食品が応募したことが分かりました。猫用おやつの「CIAOちゅ~る」にちなんで、「ちゅ~るスタジアム清水」を愛称として提案。ネーミングライツに応募したのは、いなば食品だけで、静岡市は今月中旬にも、ハヤテ223を含む三者で、契約締結式を開く予定です。

地元からは心配する声も…懸念は駐車場不足

前向きな動きが続く一方で、球場周辺の住民からは不安の声が…。

地元住民:「地元にとっては交通の不便というか、渋滞が気になるところ」

住民:「高校野球が行われるときは、駐車場が足らなくなる。みかん畑があるのだけど、そこに車を置いて苦情が出ていました」

懸念されるのは、駐車場不足とアクセスの問題。清水庵原球場の収容人数およそ1万人に対して、駐車場は最大600台程度。試合時には駐車場の不足と周辺の混雑が予想されます。

課題解消に向け、球場を管理する静岡市との打ち合わせに同席していたのは…。

コインパーキング大手企業 担当者:「いま何百台、公で庵原球場にあるのか、すぐに確認しないとですけど」

静岡市スポーツ交流課 山野井伸吾室長:「オンタイムで、そこだけ借りるところを球場周辺にどれだけ確保できるかかと」

コインパーキング大手のサービスを活用して、多数の車での来場が見込まれるタイミングで、周辺に臨時の駐車場を確保できないか模索しています。

ハヤテ223 榎本滉一朗さん:「空いてる土地や、どこかの会社の駐車場をお借りさせていただくとか、どうにか人が来やすい球場づくりを進めているところです。あとはシャトルバスの運行。車を使わずに来られるような環境づくりを進めています」

球場がある庵原地区との関係づくりもこれからが本番です。

ハヤテ223 榎本滉一朗さん:「球場の駐車場でイベントをしていて、その横の球場で我々もキャンプインをしています。イベントで少しお時間がいただけるということで、すごく楽しみにしています」

この日の会合のテーマは、1月28日に庵原球場の駐車場で開催されるイベント「いはらフェス」。前回およそ4000人が訪れたという地元の一大行事に、ハヤテ223の選手が参加することを球団側が打診したといいます。

いはらフェス実行委員会 山梨慈巳委員長:「練習を見る方がいはらフェスにも流れてくれる。ずいぶん楽しみにしています」

経済からは期待の声

5日に開かれた静岡商工会議所の賀詞交換会。親会社のハヤテグループ杉原行洋会長と池田省吾球団社長の姿がありました。

新球団の船出に、地元経済界からは―

静岡商工会議所 岸田裕之会頭:「野球はすごく裾野が広い。静岡にお客様を呼び込む点を含めて経済界としては非常に期待をしています」

ハヤテ223 池田省吾社長:「ご期待に沿えるようにしっかりとしたチームづくり、会社づくり、球団づくりをやっていかなくてはいけないと思いました。とにかく地域の皆さんに支えて応援いただけるような球団、愛される球団を作っていきたいと思いますので、ぜひ応援してください」

© 静岡朝日テレビ